取手バス襲撃事件2 無口な青年

「一生独身そうな人」1位、「ストレスがたまりそうな人」1位――。取手駅通り魔事件を起こした斎藤勇太容疑者(27)が、高校時代の卒業文集でこのように紹介されていたことが波紋を呼んでいる。
JR取手駅前で路線バスに乱入して女子高生ら14人に重軽傷を負わせた斎藤勇太容疑者だが、周囲からは「そんなことをするようには見えなかった」との声が出ているとも報じられている。
性格はおとなしく、物静か。読書が好きで、将来の夢は小説家だったとも。とても粗暴な振る舞いをするタイプではないということのようだ。
ところが、茨城県立高校時代の卒業文集アンケートで、意外な一面も指摘されている。民放各局のワイドショーによると、このアンケで「ストレスがたまりそうな人」の1位に選ばれていたというのだ。また、「事件を起こしそうな人」のアンケも行われ、こちらは4位だったという。さらに、「一生独身そうな人」でも、1位に選ばれていた。
報道によると、高校時代の斎藤容疑者は、友だちもなく孤独で、休憩時間には教室で1人座り、夏目漱石や太宰治の本を読んでいた。こうしたことから、ストレスの発散相手がなさそうで、考えていることが分からず暗くて怖いというイメージが作られたのかもしれない。
これに対し、2ちゃんねるなどネット上では、生徒の見る目が確かなことに感心する声が上がる一方で、「どうみても公開イジメだろw」「多感な時期にこんなんされたら歪むわ」といった批判も相次いでいる。
過去には、児童連続殺害事件を起こした女性容疑者が、高校時代の卒業文集アンケでひどい結果になっていたと話題になったことがある。「墓場入りが早そうな人」「すぐに仕事を辞めてしまいそうな人」でともに1位だったというのだ。また、福井県内の市立中学校では2008年5月、卒業文集に「将来ホームレスになってそうな人」「ヤンキーになってそうな人」などの順位が実名で記されていたと報じられ、学校側が謝罪して文集を回収する騒ぎになっている。
(J-CASTニュースの記事から引用)


この記事からだけで斎藤容疑者がどのような人物であったのか、判断するのは無理があります。内気な性格で人付き合いが苦手だったのかな、と推測する程度です
一昔前なら統合失調症ではないかとの疑いがかけられました。最近の傾向では「発達障害」に結びつけ、責任能力が欠けていたか減衰していたのではないか、との疑いがかけられるところかもしれません
斎藤容疑者は高校を卒業しており、大きな対人トラブルやイジメ、不登校のエピソードがないのであれば、ただちに「発達障害」だと決めつけるのはどうかと思います
学校内では目立たなくても、家庭内では親に暴力を振るうとか、モノを壊すなどというエピソードがあったのかもしれません
髪の毛は伸び放題でヒゲも伸ばしたままという、身なりに無頓着になる状態は精神的に荒廃している統合失調症の患者に見られる傾向ですが、それだけで断定するもは誤りしょう。近所の理髪店に行くのが嫌だった(散髪をしながら世間話をするのが苦手、という人もいます)ため、髪を伸ばし放題にしていたとも考えられるからです
事件は無差別に14人を襲う凶悪なもので、死者が出なかったのは不幸中の幸いでしょう。本人の言動からは明確が殺意があったと考えられるのですから
つまり、斎藤容疑者の中には14人もの無関係な人たちを刺し殺してやろうというくらいの殺意や敵意が渦巻いていた、と見られます
職場での人間関係がうまくいかず、働く場を転々としつつ、斎藤容疑者の中では「世の中が悪い。世間の奴らが悪い」という他罰的で自己本位な考えが深まり、「大勢を巻きぞえにして死んだやる」とする自暴自棄な結論に至ったのでしょうか?
何度も書いていますが、秋葉原で歩行者天国にトラックで突っ込んだ上に刃物を振るって多くの人を殺傷した加藤智大被告については、「派遣切りに遭った若者の悲劇」だと決めつけ、「格差社会が産み出した犯罪」であるとして加藤被告に同情する有識者、ジャーナリとが大勢いました。小説家で評論家の雨宮処凛などがその代表です
しかし、加藤智大の事件は格差社会云々ではなく、自身の掲示板を荒らされた腹いせであり、モテない自分に嫌気がさしたからという身勝手な理由(加藤被告自身が語っている表面的な理由)によるものでした
行動の結果だけを見て、「現代社会の中で虐げられてきた怒れる若者の義憤である」などと解釈するととんでもない読み違いをする結果になります
斎藤容疑者の場合も、社会の中でうまく生きられない自分を「迫害されている被害者」だと置き換え、世の中が悪いと責任を転嫁した結果ではないか、と考えた方がよさそうです
まったくの余談ですが、斎藤勇太容疑者は27歳で高校時代は小説家志望だったと記事にあるのを見て、水嶋ヒロと比べてしまいました。水嶋ヒロは本名斎藤智裕で26歳です
初めての小説「KAGEROU」が63万部を超える売れ行きとなっています
もちろん、2人の間にこれだけ差があるのは格差社会のせいではなく、本人の才能とそれを開花させるための努力の差であり、持っている者と持っていない者の違いでしょう
もちろん、特別な才能などなくても世の中で生きて行くのは可能であり、そこそこの幸せな暮らしを手にする機会はあったはずです
斎藤勇太容疑者がどこで挫折し、なぜ世を恨むようになったのか、こらから考えていこうと思います

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