土浦8人殺傷事件を考える3 金川被告に死刑判決
今朝、取手市で起きたバス襲撃事件についてブログを書いた際に、土浦での8人殺傷事件について言及しました。この事件については2009年12月に、被告である金川真大に死刑判決が言い渡されています
この判決に関しては取り上げていませんでしたので、あらためて触れます
土浦8人殺傷で金川被告に死刑判決 「更生の可能性極めて乏しい」
茨城県土浦市で平成20年3月、男性が自宅前で殺害され、4日後にJR荒川沖駅周辺で通行人ら8人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われた金川(かながわ)真大(まさひろ)被告(26)の判決公判が18日、水戸地裁で開かれた。鈴嶋晋一裁判長は「犯行は極めて悪質で重大。更生の可能性は極めて乏しく、死刑の選択はやむを得ない」として、金川被告に求刑通り死刑を言い渡した。
(2009年12月18日付け産経新聞)
上記の記事のように、2人を殺害し7人に重軽傷を負わせた事件です。金川被告は犯行を認めており、「死刑になりたいからやった」と述べ少しも反省する態度を示しませんでした
弁護人は統合失調症による心神耗弱を主張し、責任能力が欠けていたとして精神鑑定を求めました
この裁判では起訴前に簡易精神鑑定が行われており、金川被告には犯行当時、責任能力があったとして統合失調症を否定しています。その後、公判の途中で改めて精神鑑定が実施され、同様に金川被告の責任能力を認める鑑定結果を出しています
弁護人が責任能力を争い精神鑑定を求めるのは常套手段ですが、2度に渡って責任能力ありと判断された以上、責任能力を争点にするのは無理があります
さらに金川被告自身、「死刑になりたくてやった」と発言するとともに、口を開けば裁判そのものを愚弄する発言を繰り返しており、挑発的な姿勢を貫き通しました死刑判決が出るのも当然です
それでもなお、弁護人は控訴して責任能力を争う構えを示していました
何をしてそこまで弁護人が金川被告の責任能力に執着し、争うつもりでいたのかは不明です
結局、弁護人が控訴手続きをしたものの金川被告が控訴取り下げの申し立てをしたため、金川被告の死刑判決が確定しています
拘置所にいた金川被告は刑事訴訟法上、無罪の推定を受けますので、手紙のやり取りや面会が広範囲に認められており、各メディアと手紙のやり取りも行っていました
しかし、そうした手紙から事件の何たるかが浮き上がってくる可能性はなく、ただ金川被告の自己宣伝ばかりであり、「ワル」を演じ続けていたにすぎません
このように金川被告は「ワル」を演じ、「ワル」のまま死刑になるのを望んでいたのであり、決して統合失調症に罹患して分別を失っているのではありません
「オレは反省など絶対にしない。謝罪など絶対にしない」と決意を固めているのでしょう
死刑廃止を叫ぶ市民団体からは、「被告が死刑を望んだからといって、被告の望みどおり死刑にしてよいのか?」と奇妙な批判が起きています。「事件について反省させ、被害者に謝罪させるべきであって、それが実現するまでは死刑を執行すべきではない」と主張する人もいます
言わんとするところは分からないでもありませんが、それは改心を強要する行為であり、一種の洗脳でしょう。人の心の中に手を突っ込み、無理やり考えを改めさせる行為です
被告本人の望みがどうあれ、粛々と刑を執行するのが相当だと自分は考えます
以上、裁判の経過にそって概略を書きました
個別に論じたい部分がいくつかありますので、後日取り上げるつもりです
この事件については、さまざまな方がさまざまな立場から論じています
その中の1人で、家族カウンセラーという方が事件について語っています
土浦荒川沖駅無差別殺傷事件-金川真大の心理的背景
「心理学の見解からすればこうなのかな」とは思いますが、自分の見解とは随分と異なっているところがあります。それにブログを見る限り、「宇宙」だとか「スピリチュアル」などという単語が散見され、そちら系の人なのでしょう
自分は「宇宙のエネルギー」だとか「波動」だとか、「スピリチュアル」などと口にする人は信用しません
(関連記事)
死刑囚からの手紙 月刊「創」の記事を考える1
死刑囚からの手紙 月刊「創」の記事を考える2
土浦8人殺傷事件を考える
土浦8人殺傷事件被告 法廷で失神
土浦8人殺傷事件犯金川真大 死刑執行
秋葉原17人殺傷事件を考える2 加藤智大というイコン
秋葉原17人殺傷事件を考える3 現実との境界
秋葉原17人殺傷事件を考える4 加藤智大の甘え
取手バス襲撃事件 無差別に乗客を襲う
淡路島5人殺害事件 平野被告に死刑判決
小田急切りつけ男 勝ち組女子大生を狙った
小田急切りつけ男 非モテによる無差別殺人?
小田急切りつけ男 懲役5年から7年という説