石巻3人殺傷事件を考える6 死刑判決
元交際相手の女性に暴行を加え、その姉や友人ら3人を殺傷したとして、殺人罪などに問われた宮城県石巻市の元解体工の少年(19)の裁判員裁判で、死刑判決が言い渡されました
裁判では事実関係に争いはなく、弁護側は「突発的な犯行だった」などとして、少年院送致などの保護処分を求めていました
しかし検察側は、「残忍な犯行であり、共犯者の少年に罪をかぶせようとするなど悪質」だとして死刑を求刑していました
事件の経緯については下記のまとめサイトを御覧ください
石巻3人殺傷事件
先に述べたように事実関係に争いはなく、犯行時は心神喪失状態だったとの主張もありません。ただ、裁判所が少年に死刑を言い渡すかどうかが注目されていました
前に取り上げた「耳かき店員殺人事件」と犯行そのものは類似しています。殺害目的で予め凶器を準備し、家に押し入って家人を殺害したのですが、「耳かき店員事件」では裁判官がこれを偶発的な犯行だと認定し無期懲役の判決を言い渡しています
この「石巻事件」では計画的な犯行と認定し、死刑判決を言い渡しました
裁判所の判断の「いい加減さ」に呆れるばかりです
犯行の計画性の有無という形式的な判断に拘泥するから矛盾が露呈するのであり、そのような判断基準は改めるべきでしょう。犯行の計画性の有無より、結果の重大さをこそ直視すべきです
この死刑の判断基準は「永山基準」と呼ばれ、連続射殺魔として死刑判決の下された永山則夫の控訴審(1983年)で示されたものです。もう20年以上前に判断ですから、見直してしかるべきです
さて、犯人の少年は裁判の場で、「自分のしたことを絶対忘れないで、一生償っていきたい」と発言しています。つまり死刑判決はまったく予想外だったのでしょう。反省を公判で主張していたものの、それは少しでも刑罰を軽くしたいからであって、自分の罪を深く見つめた結果ではありません
逮捕されてから今日まで警察の留置場、拘置所で暮らしてきたのですが、自分の罪と本当に向き合うのはこれからなのだろうと推測します
最終的に死刑判決が確定するのかどうかは分かりません。最高裁判所まで争うなら6年から7年はかかると思われます。そこから死刑の執行までさらに10年以上かかるのです
が、死刑囚として生かされている時間をいかに過ごし、自分の罪を見つめるかが重要になります
愚かなで無分別な若者のまま死刑執行されるのか、他者の心の痛みや悲しみを理解できる人として死を迎えるのかでは大きな違いがあります
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