メキシコ湾油田事故 対策費は3兆円突破
今年4月、メキシコ湾の油田から大量の原油が漏れ出す事故が発生しました
当ブログでも何度か取り上げましたが、その対策費は莫大なものに膨れ上がっています
米南部ルイジアナ州沖のメキシコ湾上で4月20日に爆発炎上した石油掘削基地からの原油流出の影響が深刻化してきた。事故現場に近いルイジアナなど南部4州は非常事態宣言を出した。深海での流出阻止作業は難航しており、油田権益を持っている英BPは株価が急落し、10日間で時価総額約2兆円を失った。
この状況が長期化すれば、1989年に米アラスカ沖で起きたタンカーの原油流出事故に並ぶ過去最悪の事故になる恐れもある。AP通信は原油が流失した海域が東京都の面積の5倍近くにあたる9900平方キロメートルに達したとの見方を紹介。4月30日までに、大規模な汚染被害が懸念されるルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ、フロリダの各州は非常事態を宣言した。
英紙フィナンシャル・タイムズによるとルイジアナ州のエビやカキなどの漁業は24億ドル(約2200億円)規模の産業で、原油流出が打撃を与える可能性もある。オバマ米大統領は2日、ルイジアナ州などメキシコ湾沿岸地域を訪問する。
原油価格も上昇し、ニューヨーク原油先物相場は4月30日、86ドル台に上昇し、一時約3週間ぶりの高値をつけた。米経済指標の回復が主要因だが、事故を受けて米石油在庫が減るとの見方から投機資金の流入を招いたとの指摘もある。
BPによると原油流出量は当初見込んでいた日量1000バレルの5倍に膨らんでいる。この勢いが続けば、50日強で過去最悪の流出事故とされるアラスカ沖事故の流出量(約26万バレル)に並ぶ。1日当たりの流出量は2万5000バレルに上るとの報道もある。
BPなどは多数の船舶や人員を動員して油の流失防止などに当たっているが、水深1500メートルの深海油田からの流失のため、「空前の難作業」(油田専門家)との指摘もある。タンカー事故と異なり油田そのものからの流出のため、短期間で漏出を食い止めることが急務になっている。
BPのヘイワード最高経営責任者(CEO)も「漏出防止や環境への影響を食い止めるためできることは何でもやる」と話す。ただ海底油田に無人ロボットを送り込み流出元の遮断を試みているものの、成功していない。
BPの株価は事故発生の4月20日から10日間で12%下落。時価総額がほぼ2兆円吹き飛んだ。BPによると現在の作業だけで1日に600万ドル(6億円弱)の費用が発生、今後は大きく膨らむ見通しだ。市場関係者からは「総費用は最大35億ドル程度になる可能性がある」(モルガン・スタンレー)との指摘もある。100億ドル以上に膨らむとの見方もある。
メキシコ湾では水深1000メートルを超す海底での「超深海油田」と呼ばれる油田開発が相次いでおり、BPは同地域で最大の油田権益を有する。最大手のエクソンモービルや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなども同湾地域の油田開発を進行中。米政府も海底油田の新規採掘などを認める計画を発表したばかりだが、事故を受け計画が見直される事態になれば、欧米メジャーの経営戦略が修正を迫られる可能性もある。
(日本経済新聞の記事から引用)
日本から遠いメキシコ湾での出来事であり、報道される機会も少なく、世間の関心は低い事故ですが日本と無関係な話ではありません
記事にあるように油田の開発を手がけたブリティッシュ・ペトロリアムがその対策費を負担しているわけですが、油田の採掘権の10%を保有する三井物産系の子会社にもおよそ1500億円を負担しろと請求がきています
もちろんこの事故対策費だけで話が終わるものではなく、アメリカ政府などから巨額の損害賠償を請求されるほか、安全対策を怠ったのを理由に罰金を課せられる可能性があります
三井物産の子会社が今後負担しなければならないお金は数千億円に膨らむでしょう
この三井物産の子会社「三井石油開発」の7割が三井物産出資で、残り3割は日本政府が出資しています。つまり日本政府も巨額の賠償金を負担しなければならないのです
三井物産側は、「保険をかけてある」とコメントしていますがすべての損害がカバーされるとは思えません
日本が海外から大量の石油を輸入し、消費している以上、こうしたリスクを覚悟する必要があるのは当然ですが(日頃、そんな事態を考慮に入れていないだけに驚き、釈然としない気分になってしまいます)
石油の掘削作業を実際に担当した企業トランスオーシャンに最大の責任があるとは言え、トランスオーシャンがすべての損害賠償請求に応じるのは困難です。この先、長い裁判が続き、最終的な賠償額が決まるのは10年以上先になるのでしょう
日本政府(日本の国民)の負担は果たしてどれだけの金額になるのか、気がかりです
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