椎名軽穂「君に届け」に学ぶ青春・恋愛術

松平健の妻の自殺について書いたばかりなのですが、精神科医もカウンセラーも自殺しようと思いつめている人にできる働きかけは限られています
医療機関の場合、2時間近く診察待ちをして医師の問診は5分くらいで、あとは薬をもらって「様子を見ましょう」と言われるだけというケースがほとんどです
しかし、医師やカウンセラーよりも確かな働きかけをするのが「漫画」のようなメディアかもしれません
日刊サイゾーが椎名軽穂の漫画「君に届け」の批評を載せています

ホラー少女が鈍感力でライバルをなぎ倒す

「君に届け」に関してはアニメーションや映画の方を既に取り上げました
「貞子」とあだ名をつけられた黒沼爽子が、自分の引っ込み思案な性格に悩みながらも積極的に周囲と接しようと努め、同時に憧れを抱いている男子とも気持ちを通わせるようになってゆく青春ストーリーです
昔は、「アメリカで起きている社会現象は5年後、10年後に日本でも起こる」と言われてました。アメリカでは高校が荒れ、生徒はナイフや銃を持ち込み、傷害事件や殺人も発生する深刻な事態が80年代に発生しています。日本もやがてそうなる、と言われたものです
確かに日本でもいじめや不登校、暴力行為などなどが小学校から高校で発生しており、状況は深刻です。しかし、ストリートギャング化したこどもたちが街頭で麻薬を売買し、銃撃戦を繰り広げられるような事態には至っていません
日米の社会の違い、教育の違いもあるのでしょうが、自分は青少年に影響を与えるサブカルチャーの違いも大きいのではないか、と勝手に思っています
「君に届け」のようなコミックで、他人を思いやる気持ちの大切さや、人間関係を作るには努力も勇気も必要であることなど、日本のこどもたちは学んでいるのだろうと思います
スポーツに打ち込む情熱や、仲間を大切にする気持ち、逆境に負けない「折れない心」など、漫画が持つメッセージは確実にこどもたちに届いているのではないでしょうか?
もちろん日本の漫画も暴力表現や、児童ポルノ問題など批判される点は山ほどあり、手放しで絶賛できるものではありません
それでもこどもたちの心を豊かにする材料の1つにはなっていると言えます。教育システムではフォローできない部分を、日本の豊かなサブカルチャーが補っているのだ、と暗いニュースも多いのですが、大手新聞が書くほど日本がダメになっているは思いません。豊かなサブカルチャーを創造し続ける持つ日本は、世界が羨むほどの贅沢な、豊かな国であると考えて間違いないでしょう
「翻訳コンニャーク」さんのブログがアニメーション版「君に届け」の第1話と第2話の海外の反応を紹介しています


「日本の高校生の他愛もない日常」の1コマを、海外の人たちが実に熱心に、興味をもって見ているのが分かります

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