「中国スパコン『天河1号』が計算速度世界一」と報道されるが
「中国が開発したスパコン『天河1号』が、前回調査でトップだった米国製のスパコンを抜き、計算速度で世界最速になった」と報道されています
中国スパコン『天河1号』が米国製を抜き世界最速 日本製は4位 世界ランク
しかし、「中国が開発した」とする部分は誤りであり、正しくは「中国が購入した」と書くべきでしょう
過去にも、「中国が開発したスーパーコンピューター」との記事が報じらましたが、中身は外国のコンピューターメーカーDELLが組み立てたものであったり、CPUを製造する世界的なメーカーAMDが開発を担当したものだったりします
今回の『天河1号』も中身はほとんどが外国メーカーによるもので、いったいどこに中国の技術があるのか疑問ですし、これを「中国が開発した」と表現するのが妥当かどうか、メディアは検証もせず吟味もせず、ただ受け売りしているだけです
技術系の人たちはこうした報道に厳しい指摘をしています
中国のスーパーコンピューター『天河1号』は新規性がなく外国製品の寄せ集め
要するにコンピューターの計算速度を示す指標は、マシンの性能を見る目安の1つであるにすぎず、実際に天気予報のような実用的なプログラムを動かすにはマシン性能だけではダメで、ソフトウェアが重要になるという話です
日本の『地球シミュレーター』は2002年に開発されたスーパーコンピューターです
演算を行うCPUも含め主要部分は日本で開発されたものであり、「外国製品を購入して中国が開発した」と詐称して『天河1号』とはまったくの別物です
『地球シミュレーター』は2009年に新型に更新され演算能力が大きく向上しました(実質的な性能では日本でもトップ)
次世代スーパーコンピューターは事業仕分けで「無駄」と槍玉に挙げられましたが、科学技術立国を支えるためにも継続して開発に尽力すべきだと思います
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