アパートに放火した15歳少年 続報
大阪府池田市のアパートに放火した少年の事件について、続報がありましたので取り上げます
少年の両親が彼が中学2年のときに両親が離婚し、その後、父親は再婚したと記事には書かれています。少年はこの継母と一緒に暮らしたり、実母の実家で生活したりいているのですが、「実母に暴力を振るって追い出された」と父親は説明しているそうです
一方、少年は「父親に暴力をふるったことはあるが、実母と継母にはない」と警察に供述しているようで、言い分が食い違います
なぜこんな食い違いが生じたのでしょうか?
理由は幾つか考えられます
まずこの少年と父親とで、「暴力」の定義が大きく異なっているのでしょう
少年の供述する内容から推測すると、実母や継母に対し直接殴る蹴るの暴行はしていないという趣旨だと思われます
父親の方は、少年の親に対する発言や振る舞いなど少年の強圧的な態度を「暴力」と理解しているのでしょう。つまり親に反発したり、怒鳴ったり、物を投げつけるような行動もすべて暴力に含めていると考えます
さらに父親が、「少年が継母に暴力を振るうかもしれない」と過敏に反応しているように思われる点も気になります。この発言の意味する暴力とは、継母に性的な暴行を加える懸念を示しているのでしょう
つまり年頃の息子と自分の後妻の間で性交渉が行われるのを心配し、息子を家から追い出したのがこの事件の背景だ、と推測されるのです
家の中で息子と継母の間に何があったのかは分かりませんが、父親がそうした懸念を抱かざるを得ないような事態があったのかもしれません。あるいは父親が勘繰りすぎるほど神経質になる理由があったのかもしれません
事実関係は不明なので勝手に憶測するなら、まず両親の離婚がひっかかります
離婚するほど夫婦仲がこじれるトラブルがあり、それが少年の情緒を不安定にさせたと考えれます。思春期の真っ只中での両親の離婚ですから、表面上はそれを受け入れたように見えても、母親を追い出した父への憎悪や、自分を見捨てて出て行った母への憎悪が膨らみ、少年の心の中は嵐が吹き荒れていたのかもしれません
そんな日常の中で、父親が少年の言動に継母を女として見ているようなニュアンスを感じたのかもしれませんし、少年が継母につきまとったり、夫婦の寝室を覗き見るような行動があったとも考えられます
父親としてではなく男として少年の行動が許せず、家から追い出したように感じられます
表向きの口実は「大阪大学受験に専念させる」とありますが、実際には風呂トイレ共同の6畳1間で築42年の木造アパートに住んで、現代っ子が受験勉強に専念できるとは思えません。少年の家は裕福なようですから、本当に受験に専念させるなら単身者向けワンルームマンションくらいは貸し与えたはずです
明らかに懲罰的な意味合いがあったのでしょうし、少年もそれを感じ、父親への反発と憎悪を募らせた結果、放火に至ったのでしょう
事件の司法的な判断は表面部分に見られる父親と少年との仲違いで処理されるのでしょうが、この事件の本当の意味を読み解くには少年と父親、母親や継母との関係がどのようなものであったか考える必要があります
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