「児童相談所の権限を強化せよ」と説く勝間和代

毎日新聞のウェッブサイトに載っている「勝間和代のクロストーク」では、児童相談所の権限強化や児童虐待防止への予算増額がテーマになっています


議論に水を掛けるようですが、まず児童相談所の実態を勝間和代は理解しないまま話を進めているように思えるので、その辺から説明する必要があると感じます
自分は仕事上、幾つかの児童相談所と関わり、そこで働く職員と面識があります
当ブログでは既に書いたところですが、児童相談所の権限不足が児童虐待問題を深刻化させているのではありません
現在でも児童相談所はかなりの権限を与えられており、それを行使すれば相当の活動が可能なのです
しかし、現場の事なかれ主義や面倒を嫌う児童相談所長によって、折角与えられた権限も十分行使されないまま問題のある家庭を放置しているのが実情です
児童相談所長といっても児童福祉行政に長年携わってきた人は稀です。多くはまったく無関係の部局(県の土木事務所、県税事務所など)から人事異動でポストをあてがわれた人たちであり、当然やる気は乏しくトラブルになりそうな事案は極力避け、2年の任期を無難に乗り切って次のポストへ移ることばかり考えていたりします
そんな所長の下で働く職員も当然のように面倒なケースには介入せず、放置するようになります
児童の虐待死事件が起こると、「児童相談所は何をしていたのか?」と批判されます
児童相談所側は、「抱えるケースが多すぎて職員の手が回らない」と弁解するのですが、それが事実だとは限りません
こんな現状にあって、児童相談所の権限を強化しても無駄です。予算を増やしたところで十分な効果は挙がらず、浪費されるだけでしょう
さらに児童相談所と密接な関係にある児童自立支援施設も問題だらけで、勤務する職員が保護している女子児童にわいせつ行為をはたらくといった事例があちらこちらで発生していたりします
上記の児童相談所のように、児童福祉や学校教育といった仕事の経験のない者を人事移動によって自立支援施設に配置している地方自治体があるためです
そうした職員の中には使い物にならないとの理由で、厄介払いとして自立支援施設へ異動させられる札付きの不良職員も含まれます
ですからこどもの指導の仕方を知らず、殴ったり蹴ったりする事例があとを絶ちません
現在の状況を打開するのは予算の増額程度の対応ではあまりに不十分です
組織ごと、職員も含めて作り替えるくらいの措置を講じないとダメでしょう
児童福祉行政に関わる職員は単なる公務員ではなく、専門的な教育と訓練を受けたプロを配置するのが理想です。大学で児童福祉や児童心理学を学び、児童や親と接する訓練を経験した専門職を育てなければなりません

(関連記事)
神戸児童相談所 小6女児を深夜に追い返す
こどもへの虐待を考える 児童相談所
「勝間和代を目指さない幸せ」
虐待を発見しながら報告しない学校の屁理屈
宝塚女子中学生放火事件を考える1 発端
宝塚女子中学生放火事件を考える2 義理の父
宝塚女子中学生放火事件を考える3 甘い行政の対応
相模原中学生自殺 児童相談所が保護せず見殺し
北海道で山に子ども置き去り 「しつけのため」と釈明
北海道で山に子どもを置き去り 父親の不可解な説明
栗原心愛ちゃん殺害事件を考える 行政の稚拙な対応
栗原心愛ちゃん殺害事件を考える 虐待する父親



この記事へのトラックバック