アニメーション「閃光のナイトレイド」感想

放送終了からちょっと間が空きましたが、テレビ東京系の「閃光のナイトレイド」を取り上げます
1930年代の上海を舞台に日本の特務機関(スパイ)の活躍を描く、という傍から見れば無謀な企画のアニメーションでした

公式サイト

どんな脚本にしようと各方面からあれこれクレームがつけられ、歴史問題を巡る論争の渦中に巻き込まれるのは目に見えています。まあ、それをあえて狙って企画したのかもしれませんが
以下、ネタバレしないよう注意しながら、話を進めたいと思います
放送の第1回のストーリーは無難な立ち上がりでしたが、この特務機関誕生の経緯や個々の登場人物の背景などは説明がなく、今後の展開の中で明かされるのだろうな、と思っていました
しかし、物語のベースになるこの特務機関誕生秘話はBlu-rayとDVDの第1巻に特典映像として盛り込まれると分かり、その商売気にがっかりさせられました
テレビ放送よりもBlu-rayとDVDの販売優先で、そちらで儲けようとする意図がありありというのはビジネスとしては正解なのでしょうが、テレビの視聴者を舐めきっているように感じられます
さらに物語の中では重要なエピソードとなる満州事変を扱った第7話「事変」はテレビで放映されず、インターネットで公式サイトによるストリーミング配信という形になりました。ほとんどのテレビ視聴者がこのストリーミング配信で第7話を見たと思われますので、テレビで放映しなかった意味が分かりません
満州事変、満州国建国、核兵器開発と大風呂敷を広げながらも、最終回は実にしょぼい話で、張り巡らせた数々の伏線は回収されず放り出したまま終わります
尻すぼみのアニメーションとしてはこの「閃光のナイトレイド」以上のものはないと思われます
なぜわざわざ1930年代の上海や満州を物語の舞台に選んだのか、疑問です
要するにこれだけの舞台・事件をまとめて物語にするだけの脚本が書けなかった、というのが事実なのでしょう。制作側の力量不足です
そしてしょぼい最終回の後日譚となる第14話(テレビ未放送)を、またもやBlu-rayとDVDの特典映像にして販売するようです
脚本をまとめ上げる力はないのに商売する意欲だけは旺盛のようです
敢えてあの時代を舞台に選んだのなら、もっと面白いストーリーにできたのではないか、という気がするばかりで何とも釈然としないアニメーションでした
しかし、「萌えアニメ全盛の中にあって、こうした歴史に斬り込むような作品があってもよいのではないか」と評価している人もいます

「aniパンダの部屋」 (注:ネタバレありです)

自分としては歴史に翻弄される人間の悲哀を描くアニメーションを見たという気にはなれず、歴史に翻弄されたアニメーションの悲哀を見せられた気がします


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