「ひきこもり」全国で70万人
内閣府の調査で「ひきこもり」が全国で70万人いる、との推計を各メディアが報じています
ただ、これは男女5000人を対象に調査した結果から推測した数字であり、かならずしも実態が反映されたものではありません
統計上の手法として、5000人の調査結果から日本全体の「ひきこもり」の数を推計しており、統計の専門家に言わせると1軒1軒を当たって調べる全数検査と比較しても大きな差はないとされます
もちろん、1軒1軒しらみつぶしに訪問して「ひきこもり」の有無を確認するのは膨大な手間と費用、時間がかかりますから、実施は困難なのですが
しかし、国勢調査のような数百億円もかけた全国規模の調査を日本は定期的に実施しています。国勢調査に「ひきこもり」が世帯の中にいるかどうか、質問項目を1つ加えるだけで全数検査に近い結果を得られるのに、なぜ実施しないのでしょうか?
重要とも思われない質問項目が並んでいる国勢調査のマークシートを見るたびに、多額の予算を費やして全国調査をする意義があるのか、疑問に思います
さて、話が逸れましたので元に戻します
「ひきこもり」が病気であるかどうかについては、個々人のケースを調べ診察しなければ断言できません。ですから、一部にある「『ひきこもり』は甘えているだけだから軍隊に放り込んでビシバシ鍛えるべき」などという主張は論外です
また、「『ひきこもり』を社会的な『病気』とみなして健康保険の対象とすべき」という意見にも賛同しかねます
病気であるなら、現行の制度でも治療を受ける道はあるわけですから対処は可能です
ただし、前にも述べましたが病気が治癒ないし軽快したとしても、「ひきこもり」状態がかならずしも解消されるわけではありません
欝病の治療が終わったからといって、社会に出てバリバリ働き始めるというものではないのです
こうして疾病の治療が終わった後の「ひきこもり」にどう対処するか、あるいは最初から病気ではない「ひきこもり」のケースをどう扱うべきか、という課題をこれから考えていかなければなりません
読売新聞では大学の取り組みを紹介する記事を掲載しています。学生という枠組みに所属しているうちに対処が可能であれば、それはそれで有効なサポートとなり得ます
ひきこもり学生を救え…各校が相談室設置
社会の各層、各所にこうしたサポートの網を張り巡らせるというのも1つの対処方法なのだろうと思います
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