殺人犯を英雄視するウェブサイト閉鎖へ
イギリスで自分の恋人や警察官ら3人を射殺し、銃を持ったまま逃走していた殺人犯が最後は警察に追い詰められ自殺するという事件があったのですが、犯人ラウル・トーマス・モートを「伝説」として称えるフェースブックのページが社会からの批判を浴び閉鎖に追い込まれました。しかし、ページを開設した人間はラウル・トーマス・モートを英雄として賛美するのを止めないと公言しています
事件の概要はいかのとおりです
英イングランド北東部で前週、元ガールフレンドとその新しい恋人、警察官の3人を銃撃し、逃亡していた37歳の男が9日夜、重装備の警官隊に包囲された末に自ら銃で命を絶ち、約1週間におよぶ逃走劇は幕を下ろした。
英全土でラウル・トーマス・モート(Raoul Thomas Moat)容疑者の行方を追っていた警察は9日午後7時(日本時間10日午前3時)ごろ、事件が発生したイングランド北東部ノーサンバランド(Northumberland)の村ロスベリー(Rothbury)でモート容疑者を発見した。
川岸で包囲された容疑者に対し警察は雨の中6時間にわたって説得したが、容疑者は銃で自殺を図った。容疑者は救急車で病院に運ばれたが、警察は搬送先の病院で死亡が確認されたと発表した。
モート容疑者は元警備員で、3児の父。暴行罪で18週間服役した刑務所を1日に出所した後、3日に元ガールフレンドとその新しい恋人、警察官の3人を銃撃し、指名手配されていた。男性は死亡し、女性と警官は重傷を負った。
今回の事件の捜索には警察以外に軍から狙撃専門チームを含む15部隊も動員され、撮像装置を搭載した英空軍機や、北アイルランドに配備されていたオフロード仕様の装甲車も出動。英国のメディアはこの逃走劇を大きく報じていた。
(AFPの記事から引用)
この身勝手な殺人犯を英雄として賛美し、伝説だと持ち上げる心情は到底理解できませんし、共感を示す気にもなれません
しかし、こうした現象がイギリスだけというものではありません
前にも言及しましたが、日本でも神戸の児童連続殺傷事件の犯人酒鬼薔薇聖斗を賛美するウェッブサイトがいくつもあり、彼を英雄として称えるブログもあります
もちろんこのように殺人犯を賛美しているのは極一部の人たちで、ダークヒーローとして持ち上げたり、反社会的な英雄とみなす主張はあまりに特殊すぎてついていけません
陰謀論やオカルト好きにはたまらないネタなのでしょうが
たとえばプロレスの悪役レスラーのファンになったり、映画の悪役に肩入れをしてコアなファンを気取るようなスタイルもあるわけですが、そんな通ぶったスタイルよりももっと歪んだ価値観に支配されているように感じます
イギリスは失業者が245万人いて、就職しない引きこもりの若者も増えています。そうした社会に希望を持てない若者が犯罪者を賛美し、共感を示すとも考えられますが、どうなのでしょうか?
社会学者の見解を聞きたいところです
日本でも秋葉原で17人を殺傷した加藤智大のような人物もいますが、インターネットの掲示板「2ちゃんねる」でも彼を英雄視したりする雰囲気はありません(一部には彼を持ち上げる書き込みもありましたが)
むしろ秋葉原の歩行者天国を廃止に追い込んだ人物として槍玉に挙げられ、批判されてもいました
英雄視される殺人犯とそうでない殺人犯の境目がどこにあるのか、謎です
犯罪にせよ、政治的なテロにせよ何が人々に共感をもたらすのか、もたらさないのか、考える必要があるテーマでしょう(自分の手には負えませんが)
言論の自由はあるわけですが、しかし反社会的な主張を堂々と垂れ流す行為には批判も集まります。だからインターネットを規制せよ、と言い出す人間も登場しそうですが、反社会的主張に批判が寄せられるうちは健全に機能していると言えるでしょう
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