清心女子高校傷害事件を考える6 彼女のようになりたかった
先月15日、女子高校生が教室内で同級生をナイフで刺した事件について6度目の言及になります
報道によれば逮捕された生徒は、「(明るく友人が多い)被害生徒のようになりたかった」という趣旨の供述をしている、とあります
もちろんこの部分的な報道だけで事件のすべてを判断し、断定できるものではありませんが、考える材料にはなります
クラス内で犯人である生徒と被害者との間には、「カーテンの開け閉めを巡る争いがあった」と報じられ、「そんなつまらない争いくらいで人を刺すな」との反応が世間一般からはありました
「カーテンの開け閉め」が本当のトラブルの原因ではなく、それは明るく活発な同級生に対する羨望、嫉妬のまざったアクションの一端だったのでしょう
そうやって相手に突っかかる方法でしか、自分の気持ちを表現できない不器用な少女だったとも言えます(ある種の病理を感じますが)
当然、不器用だから相手をナイフで刺しても構わない、というものではありません
ただ、明るく活発な同級生への羨望や嫉妬がナイフを使って刺すという行動へと飛躍するには、何らかの葛藤があったと考えられます
憧れ、自分もそうなりたいと希求しながらも、そうなれない自分への苛立が殺意へと変わったのはなぜでしょうか?
自分が彼女のようになれないのであれば、いっそのこと彼女を殺してしまおうと思い詰めるに至る過程が不鮮明です
言い換えると、憧れの対象である同級生という存在が彼女のアイデンティティを混乱させ、苦しめる原因になったと考えるべきなのでしょうか?
その苦悩から脱するには憧れの対象を消し去るしかない、と書いていても、いまひとつ納得できません(納得できない仮説を書くな、と叱られそうです)
犯人である女子生徒の心の中の力動を読み解くには、まだ材料が不足しているように感じます
検察庁の判断がどうなるのか現時点では分かりませんが、家庭裁判所に送致するにせよ、いずれかの時点で鑑定留置(精神鑑定)を求めるのではないでしょうか?
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