織田裕二 映画「アマルフィ 女神の報酬」の報酬
前回は「踊る捜査線3」の話を書きましたが、今回は2009年に公開された映画「アマルフィ 女神の報酬」を取り上げます
この映画はフジテレビ開局50周年の企画として生まれたもので、最初から海外ロケと豪華キャストによる「大作」を目指したものです
そのため制作費も「フジテレビ史上最高額」と言われてます。が、海外ロケが長引いたり、撮影したフィルムの現像失敗で撮り直しなどというアクシデントも重なり、予算を大幅に超してしまったと言われてます
織田裕二の主演も最初から決まっていたようで、要するに「踊る捜査線」シリーズ並みの100億円を稼ぎ出す映画を目指していたのでしょう
結果として興行収入は36億5千万円と、当て外れの結果に終わりました。もちろん邦画で36億円なら十分なヒットと言える数字なのでしょうが、おそらく制作費と宣伝費はそれ以上かかっていたはずです
さて、映画はイタリア各地(主にローマ)の観光地を舞台に誘拐絡みのサスペンスが展開するというもので、美しい映像を背景にしたB級サスペンスです
脚本は映画「ホワイトアウト」の原作者である作家の真保裕一と監督の西谷弘が手がけましたが、真保はこの脚本の仕上がりに不満があったのか映画のクレジットに自分の名前を載せるのを拒否しています。結果として脚本の部分は作者なし、となっています
Wikipediaを見ると脚本の矛盾点がいくつも指摘されており、その杜撰さが分かります
監督自身が脚本と演出も兼ねているのですから、こうした部分は言い訳できないでしょう
映画を1本完成させるには、スタッフ間の意見の対立はよくある話です
しかし、この「アマルフィ」はそうした制作スタッフ、撮影現場の対立がかなりあったと見られ、その結果として作品がつまらない出来になったのかもしれません
織田裕二も監督から演技のダメ出しをされ、何度も同じシーンを撮り直しさせられたのですが、「何がダメなのか、どうしてもらいたいのか監督から話がない」と西谷監督の演出に不満をもらしています
女優の戸田恵梨香はイタリア語の長い台詞をしゃべるシーンのため、イタリア語を猛特訓したそうですが、シーン丸ごと編集でカットされたといいます。監督からは何の説明もなかったのだとか
結局、織田裕二としても不本意な芝居を要求され、ストレスが貯まっただけではなかったかと推測します。それでも「踊る捜査線」シリーズでフジテレビと密接なつながりがある織田としては、与えられた役を黙々とこなすしかなかったのでしょう
そして映画はフジテレビが総力を挙げて宣伝しまくり、ゴリ押ししたにも関わらず、大ヒットとは言いがたい結果であり、一部のメディアから批判を浴びました
この映画は日本アカデミー賞の「話題賞」こそ受賞しましたが、それだけです
第3回HIHOはくさい映画賞では、最低主演男優賞(織田裕二)、最低脚本賞(脚本クレジットがないため受賞者なし)、最低映画としての特別功労賞(亀山千広:エグゼクティブプロデューサー) と、視聴者からは手厳しい評価を受けています
テレビ局が制作する映画の常として、監督の上に何人ものプロデューサーがいて、さらにその上にエグゼクティブプロデューサーやらワケのわからない人間がいるという構図があり、この「アマルフィ」も同じです。誰が責任者なのかはっきりしないまま、いろいろな人物が現場に口出しをするのでしょう
「フジテレビ開局50周年記念作品」であるがゆえに、余計にテレビ局側があれこれ口を出し、こうして不幸な作品が出来上がってしまったのではないか、と思います
織田裕二の役者としてのキャリアの中では黒歴史であり、できればなかったことにしたい作品であるのかもしれません
出演料はしっかり受け取ったはずですが、それ以上に何かを失ったような印象が残ります。そんな鬱憤を「踊る捜査線3」で晴らすことができたのでしょうか?
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