秋葉原17人殺傷事件を考える5 母親の供述調書

繰り返し取り上げている秋葉原で17人を殺傷した加藤智大被告の事件について、5度目の言及になります
6月28日の公判で、弁護人が加藤智大被告の母親の供述調書を読み上げた、と報道されています


前にも述べましたが、この事件の裁判では加藤被告が自分の犯行を認めています。弁護人は加藤被告の責任能力を問題視し、さらには情状酌量の余地があると言いたいがためにあの手、この手で裁判を長引かせているように思えてなりません
加藤被告の母親の供述調書を持ち出してきたのも、情に訴えるためでしょう(法廷戦術としてはありなのでしょうが、賛同する気にはなれません)
加藤被告の母親は供述調書の中で、「智大の力になってやろうと思っていたができなかった。心から悔やんでいる」と心境を語っています
しかし、息子と連絡が取れなくなり、行方不明の状態にあった間、加藤被告の両親は何をしていたのか、気になります。息子の所在を探さなかったのでしょうか?
裁判所は来月、青森にいる加藤被告の両親のところまで行き、出張尋問を行う予定だと記事にあります
これも「何だかなぁ」と思います
ますます裁判の方向が見えなくなり、迷走している気がします
加藤被告の両親を責めるつもりはありませんが、なぜ裁判所に出向き公判で証言しないのでしょうか?
事件の責任は加藤被告にあり、両親を責めたり批判するのは間違いです
が、世間の冷たい目にさらされるのを覚悟の上で法廷に立つ責任が、親としてはあるのではないか、と思うのです
もちろん精神的な負担は大きいのですが、親としての責任を避けて通ることが結果として両親にプラスになるとは考えられません。むしろ法廷に立ち、息子と向き合い、思うところを語った方が救いを得られるのではないか、という気がします
過去にも殺人事件で被告の親が証言に立ったケースはいくらでもあります
報道を見る限り、加藤被告は自分自身と真摯に向き合うのを拒絶しているように見えます
同様に加藤被告の両親も息子と向き合うのを避け、逃げているように見えます
証言台に立つ両親の姿を見て、加藤被告が何を思い、感じるのかは分かりませんが、心が揺らぎ何らかの反応を示すでしょう
もちろん、加藤被告が涙を流して両親に謝罪するといった、安っぽい法廷ドラマを期待しているわけではありません
彼の犯行には社会への不満、敵意が動機だと一般的には語られていますが、両親への復讐という意味もあったはずです
その両親が法廷に姿を見せず、調書の朗読だけというのは加藤被告にとってどう感じられるのでしょうか?
ますます両親に見捨てられたと思い込み、憎悪をふくらませ、これまで以上にかたくなな態度を示すようになるかもしれません。自暴自棄になり、「もう裁判などどうでもいいや」といった言動に走る可能性もあります
そうなればますます裁判の方向が見えなくなり、何のための裁判をやっているのかワケが分からない状態に陥るかもしれません

(関連記事)
秋葉原17人殺傷事件を考える1 長引く裁判の狙い
秋葉原17人殺傷事件を考える2 加藤智大というイコン
秋葉原17人殺傷事件を考える3 現実との境界
秋葉原17人殺傷事件を考える4 加藤智大の甘え
秋葉原17人殺傷事件を考える6 加藤被告の「夜這い」
秋葉原17人殺傷事件を考える7 すべては加藤被告のパフォーマンス
秋葉原17人殺傷事件を考える8 すべては掲示板のせい?
秋葉原17人殺傷事件を考える9 突飛な行動へと走る理由
秋葉原17人殺傷事件を考える10 「加藤よ、裏切ったな」
秋葉原17人殺傷事件を考える11 責任能力認定
秋葉原17人殺傷事件を考える12 死刑求刑も無表情
秋葉原17人殺傷事件を考える13 中身のない最終陳述
秋葉原17人殺傷事件を考える14 被告に死刑判決
秋葉原17人殺傷事件を考える15 かみ合わない親子
秋葉原17人殺傷事件を考える16 「成熟格差社会」という指摘
秋葉原17人殺傷事件を考える17 事件から4年
秋葉原17人殺傷事件を考える18 控訴審で死刑判決
秋葉原17人殺傷事件を考える19 加藤智大の手記「解」
秋葉原17人殺傷事件を考える20 実弟の自殺
秋葉原17人殺傷事件を考える21 最高裁で死刑確定
秋葉原17人殺傷事件を考える22 死刑執行
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/202207article_46.html
秋葉原17人殺傷事件を考える23 再審請求していた
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/202207article_48.html
「秋葉原事件」加藤智大が「黒バス脅迫事件」を語る
新幹線3人殺傷事件を考える 小島一朗容疑者とは
新幹線3人殺傷事件を考える 小島容疑者は自閉症?
原宿自動車暴走事件 大量殺人計画
原宿自動車暴走事件 運転者を逮捕


家族心理学と現代社会 (家族心理学年報)
金子書房

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る


この記事へのトラックバック