セレブ妻バラバラ殺人を考える5 控訴審判決

以前にも取り上げた事件ですが、すっきりしない裁判でした。一審では被告である妻の責任能力を巡って精神鑑定が実施され、検察側、弁護側がそれぞれ推薦した鑑定人によって鑑定書が作成されました
2組の精神鑑定はともに犯行時は精神耗弱であり、責任能力は問えないと結論付けています
この精神鑑定結果に大慌てしたのは検察です。改めて再度の精神鑑定を要求しますが、裁判官はこの要求を退けます
結果として裁判の判決では三橋被告の責任能力を認め、懲役15年の実刑を言い渡しています(責任能力の有無は精神鑑定で決められるものではなく、裁判官が決めるものだとする考えに基づいています)
もとより三橋被告は夫を殺害し、遺体をバラバラにして捨てた事実は認めており、その部分では争いはありませんでした
弁護側の主張は夫の暴力が三橋被告を精神的に追い詰め、犯行へ至らしめた原因だというものでした。検察は夫の暴力が主たる原因ではなく、離婚問題で夫を恨んだ三橋被告が殺害を計画した悪質な犯行と主張していました
控訴審では改めて精神鑑定が実施され、三橋被告は犯行当時、「了解可能で完全責任能力があった」との鑑定結果を提示しています


三橋被告は取り調べの際、夫から受けた暴力の数々について詳細に語っていたはずですが、検事はこうした供述を無視し、夫からの暴力は三橋被告が自分の犯行を正当化するために持ち出したものと決め付けました
こうして検事(後で記事を読んだら、担当した検事は女性だったそうですが)は勝手な筋書きを作り上げ、調書に仕立てます
そして繰り返し書いているように、責任能力を有無を巡る精神鑑定が行われ、犯行時の責任能力が裁判の主たる争点になってしまいました
責任能力の有無が本当の争点ではなかったはずですが、実に奇妙な方向へと逸れてしまった形の裁判です
三橋被告に同情するつもりはありませんが、彼女は自分が夫から受けた暴力について、誰かに分かってもらいたかったのでしょう
さて、夫の暴力に悩み、離婚を考えている女性は少なからず存在すると思いますが、やはり夫の暴力については明確な証拠・記録を残しておくべきでしょう
証拠や記録の積み重ねが「事実」を立証することにつながります
日記やメモでも構いません。それらを捨てずに保管しておくことです。殴られたなら写真を撮って残しておくことです。携帯電話で撮影した写真でも構いませんので、日時を記録し、夫から暴力を受けたいきさつを書き添えておきます
塵も積もれば山となるで、こうした記録の積み重ねが離婚の裁判で役に立ちます

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