浜名湖ボート事故　何のための学校行事か？: 夾竹桃日記

2010年06月21日

浜名湖ボート事故　何のための学校行事か？

ニュース

６月１８日、浜名湖で愛知県豊橋市立章南中学校の１年生ら２０人が乗った手こぎボートが転覆、女子生徒１人が死亡した事故について２度目の言及です

学校側や青年の家の側の問題点についてはさまざまな報道がされています

それにしても生徒の死亡を防げなかったのか、との思いが残ります

学校では１年生のうち８人が欠席している、と記事にあります

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100621k0000e040050000c.html

目の前で友人が死ねばショックを受けるのは当然です

学校側は「心のケア」を進めるとありますが、不登校の状態が続くと責任問題になるので一日でも早く登校を再開するよう生徒をせっつくのでしょう

一週間くらい、そっとしておくべきだと思うのですが。友人の死を弔い、受け入れるための喪の期間が必要です

生徒たちの中には、「なぜ彼女を助けられなかったのか？」との思いが渦巻いており、気持ちの整理には時間がかかります

しかし、今の学校教育はそんな時間さえ、生徒に与えるつもりはないのかもしれません

古い話ですが、新田次郎原作の小説「聖職の碑」（せいしょくのいしぶみ）を原作とした映画を思い出します

これは１９１３年（大正２年）に長野県の高等小学校の生徒らが集団で山岳遭難した事故を取り上げたものです

引率の教師２名、村の青年団９名、生徒２５名で木曽駒ヶ岳へ登山し、天候の急変のため引率責任者であった校長を含む１１名が死亡したものです

事前に計画を練り、気象情報も近隣の測候所に確認するなど手を尽くした上で登山は行われたのですが、小笠原諸島沖で台風が急速に発達したため天候が急変。山は暴風雨に見舞われました。さらに山頂で宿泊を予定していた山小屋が火災によって消失しており、一行は雨ざらしの山の上で立ち往生します。青年団の若者はパニックを起こし、我先にと暴風雨の中を下山を開始してしまい、やむなく校長も生徒を連れて下山しようとするのですが、途中で力尽きてしまいました

Wikipediaによれば、長野県伊那郡の中学校では伝統行事として二年生が木曽駒ヶ岳登山を行っているが、これは慰霊登山も兼ねているとあります。登山の前に生徒たちにはこの映画「聖職の碑」を鑑賞させていたそうですが、最近では保護者から「（これから登山に行くのに、恐ろしい遭難シーンがあるため）子供たちが怖がるので見せないで欲しい」という意見が出たため、映画を見せないようになったと書かれています

危険であることを隠し、危険であるとの情報からこどもを遠ざければよい、とする親の考えには問題があります。さらにそうした安直な考えに迎合する学校にも問題ありです

保護者だけでなく、教師までが校外活動で起こり得る危険に対し、鈍感になっているのではないかとさえ思います

全国の教職員の方々、こどもを持つ親御さんに映画「聖職の碑」を見て考えてもらいたいものです

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