清心女子高傷害事件を考える3 押収されたメモ
読売新聞は警察の捜査員が犯人である女子生徒の部屋から「事件前の心境などが書かれたメモなどを押収した」と報道しています
「メモには、6月上旬の自分の行動や気持ちなどがつづられている」とあります
別の新聞の報道では日記を押収したが、わずかな記述しかなかったとあります
おそらく6月分の記述のみで、それ以前のことは書かれていなかったのでしょう
なぜ同級生をナイフで刺さなければならないのか、連綿と綴られていたのなら警察はそのメモを下敷きに犯行へ至る経緯を描き出し、誘導し、供述を引き出せたでしょう
しかし、断片的なメモだけではこの事件を掘り下げるのは困難かもしれません
この事件の特徴は犯人の行動が同級生を刺すという目的に絞られているところにあります。「当たり前じゃないか」と言われるかもしれませんが、犯行の形態(行為)こそが犯人である女子生徒の心情を如実に表現していると言えます
つまり同級生を憎み殺害しようとするなら、自宅付近で待ち伏せし、誰にも目撃されない状態で刺し逃走するという選択肢が考えられます
しかし、犯人である女子生徒はそのような計画を巡らせることもなく、授業中の教室で同級生を刺しているのです
最初から逃げる気も隠れる気もなく、多くの人がいる教室の仲で犯行に及んでいるわけです。二人の席が教室の一番後だったため、他の生徒も教師も犯行を直接目撃はしていないのですが、人目をはばかるつもりがなかったのは明らかです
警察は「予め刃物を用意して犯行の機会を伺うなど、計画的で悪質な犯行」だと調書に書くのでしょうが、それは慣用句にすぎません
犯人である女子生徒はひたすら「(同級生を)刺ささなければならない」という衝動に駆られており、逃げたり隠れたりすることまで考えていなかったのです
ましてや学校帰りの同級生を尾行し、人目のない場所で刺すなどという計画を思いつきもしなかったのでしょう
ここまで書けば、この事件が二人の生徒の話し合いで解決できるような単純なトラブルによるものではなく、犯人である女子生徒の深い妄執による犯行の可能性が見えてくるのではないでしょうか?
もちろん現時点で「そうだ」と断定できるわけではなく、あくまでも可能性としてです
犯人を精神障害であるとか、人格障害だと決めつける材料もいまのところはありません
同級生とのトラブル以外に目立った問題もなく、学校生活に適応できていたのなら、精神障害の可能性は低いでしょう。ただ、これも現時点での話です
今後の報道で、彼女の異常な言動や、それをほのめかすエピソードが紹介されれば別です
不登校になった女子中学生が家出や不純異性交遊、傷害事件などを短期間に繰り返し、結局は統合失調症と診断された例もあります。思春期にはこうした症状が急速に重篤化するケースがあります
押収されたメモに何が書かれていたのかは分かりませんが、他者の声で「刺せ」と指示されていたとか、電波によって命令されたという内容ならば統合失調症の可能性も出てきます
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