自衛隊員 女装でトラブル・逮捕相次ぐ

5月に自衛隊・防衛省の人間が女装して事件を起こし、相次いで逮捕されました

女装自衛官、ワンピースまくり上げ露出容疑

女装し女湯脱衣所に… 防衛省キャリア、侵入容疑で逮捕

上段は陸上自衛隊勝田駐屯地所属の51歳の准陸尉が起こした事件です。妻もこどももいる男性のようですが、妻は夫の女装癖を知らなかったと述べています
下段は防衛省技術研究本部技官の42歳でキャリア組だとか
女装したまま銭湯の女湯に入るという大胆にして奇妙な事件です。前にも同種の犯行で逮捕されている男性がいましたが
変態行為と言ってしまえばそれまでですが、中身は露出願望がかなり屈折した形で表出したものと考えられます
もちろん二つの事件を並べて掲げましたが、それぞれ別物ととらえるべきです
そしてこの手の事件は、「たまたま女装してストレスを発散していた」程度の行為ではなく、女装のための衣服を整え、化粧品を用意し、相当長い期間女装を繰り返してきた経歴があると思われます。ある日突然、思い立ってできるものではありません
さらに男性であるという自分の性に違和感をおぼえ、女性になりたいと欲する性の同一性障害の問題ではなく、女装をした己を人前にさらし辱められることで快楽を得たいという衝動に駆られた行為です
こうした衝動を己の妄想の中で満たしている間は誰にも迷惑をかけません。しかし、一般人の日常生活の中に女装して闖入し、人々を驚かせたり蔑みの視線を浴びようとすれば事件になります
いつも書いていますが、この二人も単なる女装の愛好者ではなく、女装した自分に対してさまざまなシチュエーションの中で辱めを加えたり、性行為を強要されるという物語を心の中で延々と育んできたと想像されます
鏡に映るその姿はかなり醜悪なものでしょうが、彼らが見ているのはそれではなく、あくまで妄想で彩られた姿なのだと思います
インターネットの普及によりこうした妄想を個人の内奥に封じ込めるのではなく、女装した写真を投稿する掲示板や妄想を書き綴ったブログなども現れました
しかし、フェティシズムの求めるものは個々人で異なり、細部への執着も人それぞれですですからそうした妄想を女装愛好者が共有し、満足できるというわけではないのでしょう
前にも述べましたがフランスの精神分析家ジャック・ラカンは、「欲望はそれが独自の方法で満たされるまで、繰り返し人を衝動へ駆り立てる」という趣旨の指摘をしています
つまり、単に女装をしただけではその欲望が満たされることはなく、独自の方法(その欲望が描くシチュエーション、展開)に沿った物語が実現するまで人を繰り返し衝動へと駆り立てるのだと考えるのです
本人はそうと知らないまま衝動に振り回され、駆り立てられ、翻弄され続けるのです
この衝動から開放されるには、本人が自分の無意識の中にある欲望とその希求しているものを掌握し、理解し、納得するしかないのだと精神分析では考えます
逮捕し、刑罰を科すことは社会の治安を維持するため必要ですが、しかしそれだけでは彼らは自らを駆り立てる衝動から開放されません

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