宝くじ発行停止→発行継続のドタバタ
事業仕分けを行っている行政刷新会議が5月21日、宝くじの宣伝を担当している事業の廃止を求め、それが実現するまで宝くじの発行は停止すべきだとブチ上げました
しかし、枝野幸男行政刷新担当相と原口一博総務相が協議した結果、「天下り問題についての問題意識は共有しているが、直ちに発行認可を止めるという話ではない」と述べ、発売中止を求める方針を撤回したと報じられています
これでは何のための事業仕分けなのか、と言いたくなります
そもそも行政刷新会議に「宝くじの発行停止」を決定する権限はなく、単なるパフォーマンス集団に過ぎません
個々の政策の執行(予算の執行)は行政官庁の権限ですから、行政刷新会議には何の権限もないのは明らかです
現在は特殊法人の事業を仕分け中ですが、特殊法人の手がけている個々の事業もそれぞれの法人の権限ですから、行政刷新会議に事業を停止させたり廃止させる権限はありません
つまり蓮舫議員がいかに咆えようとも、何も決められない現実があります
ただ「宝くじの発行は停止すべき」と政府に勧告するだけで、その勧告が今回のように大臣レベルの話し合いであっさりと否定されてしまうわけです
となれば、行政刷新会議の事業仕分けには何の重みもないと言うしかありません
一部のメディアや一部の国民が事業仕分けに注目し、過剰な期待を寄せ、拍手喝さいを送っているのですが、大半の人たちは冷めた目で見ているのではないでしょうか?
もちろん天下りによって利権を吸っている官僚OBはけしからん存在ですし、無駄な事業もいろいろあり、大鉈を振るってそれらをばっさり切る必要があるとの考えには大いに賛同します
事業仕分けにそうした大鉈を期待していた国民もいたのでしょうから、今回のドタバタ劇を余計にシラけた気分になったのではないか、という気がします
要するに個々の特殊法人の事業内容に国会の監視の目が届かず、それぞれの特殊法人が好き勝手に事業を拡大し続け、天下りの受け入れを増やし続けている現状に問題があるわけですから、それを国会がチェックする仕組みを作るべきでしょう
従来ならば国会の各委員会(それぞれの政策を担当する官庁ごとに縦割りになっている)で議論するか、予算委員会や決算委員会で取り上げてきたのですが、特殊法人問題を集中して扱う特別委員会を設けるという選択肢もあります
行政刷新会議のような宙ぶらりんの、何の権限もない組織としてではなく、国会の機能と権限(国政調査権)に基づき活動する特別委員会として仕事をさせた方がよいのではないか、と思います。そこには与党からも野党からも国会議員が委員として参加し、政策論議ができるのですから
官僚や特殊法人の答弁にダメ出しするだけで、政策論議を避けている行政刷新会議には何も期待できません
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