カンヌ映画祭 各国メディアの熱い期待

カンヌ映画祭の話題が続きます
カンヌでは「韓国=映画」というくらい、韓国映画が高く評価されていると朝鮮日報が記事にしています

朝鮮日報(日本語版)2010/05/18

カンヌ映画祭の関係者の談話か、フランスの映画ジャーナリストの発言かと思いきや、映画祭の会場で出会った1人のフランス人がそう語った、という記事です
そんな一般人の発言を堂々とコラムにする朝鮮日報も凄いと思いますが、それだけカンヌ映画祭に対する熱い期待と願望が込められているのでしょう
2004年に韓国映画「オールドボーイ」がグランプリを獲得しています。韓国メディアは当時、「韓国映画がカンヌ映画祭で最高の栄誉に輝いた」と繰り返し報道しました
言うまでもなくカンヌ映画祭では最高の賞がパルムドールであり、グランプリは2等賞なのです(後でそれを知った韓国メディアは、最高の賞はパルムドールで、2番目が…とくどいくらいに強調する記事を配信していました)
まあ、その「オールドボーイ」も原作は土屋ガロン、嶺岸信明という日本漫画家による作品なのですが
国際映画祭は数多く存在しますが、カンヌ、ベルリン、ヴェネチアを三大映画祭と称していました。近年ではヴェネチアではなくトロント国際映画祭の方が上、と言われているそうです。その国際映画祭の受賞歴を並べてみると、以下のようになります

カンヌ国際映画祭(パルム・ドール)  日本は4度受賞 韓国はなし 
ベルリン国際映画祭(金熊賞)     日本は3度受賞 韓国はなし 
ヴェネチア国際映画祭(金獅子賞)   日本は2度受賞  韓国はなし
アカデミー外国語映画賞         日本は3度受賞 韓国はなし

「日本映画は駄目になった」と映画評論家やジャーナリストに言われて久しいわけですが、なかなか健闘していると思います
もっとも、ベルリンで「千と千尋の神隠し」が金熊賞を獲ったとき、「アニメごときが」と見下す発言をした映画評論家がいたわけで、「実写映画こそが最高であり、アニメはクソ」だという日本の映画評論家の側にこそ問題があるのでしょう
さて、カンヌ映画祭関連の作品の中で自分が実際に見たものの中から高い評価を与えられる映画としては、「黒い砂漠」(1972年パルムドール)、「地獄の黙示録」(1979年パルムドール)、「ノスタルジア」(1983年創造大賞)、「ワールド・アパート」(1988年グランプリ)、「死の棘」(1990年グランプリ)、「さらばわが愛 覇王別姫」(1993年パルムドール)、「ユリシーズの瞳」(1995年グランプリ)、「萌の朱雀」(1997年新人監督賞)、「永遠と1日」(1998年パルムドール)、「イノセンス」(2004年)などがあります
ただし、最近ではカンヌ映画祭で賞を獲った作品でも、興行収入が見込めないと判断されれば日本で上映されないままになっており、映画祭の知名度が必ずしもビジネスに結びついているとは言えない実状があります
映画の良し悪しはあくまでも個人の主観によるものだというのは、言うまでもありません
アメリカのアカデミー賞も毎年お祭り騒ぎになりますが、アカデミー賞受賞作品が「最高の映画」であるとは限らず、単にハリウッドの評価というだけです(もちろんそこにはさまざまな業界の思惑が反映されています)
映画祭で賞を撮らなかった作品の中にも数多くの佳作・名品があり、そうした映画を自分で発見するのも楽しみ方の一つだと、蛇足ながら付け加えておきます

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世界の映画祭をゆく
毎日新聞社
草壁 久四郎

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