ミシュラン騒動 グルメを巡る争い
少し古い話題で恐縮ですが、ミシュランガイド東京版が出たときの騒動を取り上げます
ワイドショーなどテレビでは好意的に取り上げられたミシュランガイド東京版でしたが、週刊誌などは手厳しい評価を与えるという対照的な結果になりました
その状況を書いているブログがあります
ブログでは放送作家、構成作家と呼ばれるテレビ番組の作り手に問題があると指摘しています。ただ、それは言い過ぎではないかと思います
グルメであろうとなかろうと、単に旬の話題としてワイドショーなどはミシュランガイド東京を取り上げたのでしょう
他方、出版社はミシュランガイド東京をライバル視し、その評判を貶めようと躍起になっていたとも考えられます
同じ時期、文芸春秋社はグルメガイド本を出しており、ミシュランに対抗する気満々でした
文芸春秋社の雑誌「オール読物」の2008年3月号で、作家の丸谷才一がミシュラン批判を展開しています。いろいろ書いているのですが要するに文章が下手だ、と作家の視点で指摘しています。主語の前にらだらと形容詞などが連なり、何を言いたいのか伝わってこないと批判しています
ミシュランの文章を誰が書いたのかは知りませんが、おそらく情報誌に飲食店の紹介記事を書いているフードライターと呼ばれる人たちではないでしょうか?
それから情報の扱い方でも丸谷才一は苦言を呈しています。食に関する情報の中で何を優先し、紹介すべきかあいまいだ、と
例としてミシュランからうなぎ料理の竹葉亭本店の紹介文を挙げています
「創業したころは『刀預所』だった」との表現に噛み付きます。刀預所が何をする場なのか説明がなく、そもそも江戸時代に『刀預所』であった事実が食と関係するのか、と怒っています。調べてみたが丸谷才一は分からなかった、と述べてます
しかし、インターネットで『刀預所』と検索すれば5秒もせずに、竹葉亭のホームページが見つかり、『刀預所』が剣術の稽古の後に武士が立ち寄り、風呂で汗を流し飲食を楽しんだ場と説明されています
芝居見物の際に利用する芝居茶屋や相撲見物の際に利用する相撲茶屋のようなもので、剣術稽古の前後に立ち寄る武士の社交場、茶屋を意味したようです。ただ武士が利用するところなので茶屋ではまずいと、わざわざ『刀預所』というもったいぶった名称になったのでしょう
丸谷才一はインターネットでの検索はしなかったため(できなかったため)、分からなかったのでしょう
そして丸谷才一はミシュランガイドはダメだけど文芸春秋社の「東京いい店うまい店」の文章は格段にうまいと激賞しています。エッセイなのか、文芸春秋社の宣伝なのか、とちらのつもりで書いたのか訊いてみたくなります
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