自閉症の改善にホルモン投与が有効

毎日新聞の記事で、自閉症の症状改善に脳内ホルモンの一種「オキシトシン」の投与が有効だ、と報じられています


具体的な治療の可能性が拓かれるのかどうか、注目されます
過去には遺伝子の欠損が自閉症の原因と判明した、などの報道もありましたが、その説が確定したのかどうかは不明です
自閉症はその名称が知られている割に、発症のメカニズムがまだよくわかっていない病気です。脳に原因があるとされますが、脳のどの部分にどのような問題があるため発症するのか、さまざまな説があります
また、自閉症という名称だけが一人歩きし、その症状に対する誤解、偏見も世の中には存在します
当ブログでは皇太子夫妻の長女愛子様の不登校問題について何度か言及しています
が、インターネットの掲示板「2ちゃんねる」のスレで愛子様や皇太子妃の雅子様を自閉症と名指しする書き込みがあったと聞きます
こうした言い方は偏見のきわみでしょう
自閉症という呼称を使ってみただけであり、その具体的な症状や症例について無知な人間が蔑視のためにやっているとしか思えません
あるいは社会問題になっている「引き篭もり」の若者を自閉症だ、と決めつける人も存在します
これも「閉じこもっている」=「自閉症」と決めつけているだけの偏見です
引き篭もりの若者の多くは、小学校や中学校まで他人とコミュニケーションができている場合がほとんどですから、自閉症ではありません
昔、学校の教師が「親のしつけができていないからこどもが自閉症になる」と発言するのを聞いて愕然とした経験がありますが、なかなか人の認識というものは改まらないものです
現在でも教師の中には、こどもの個別の問題や症状を受け入れない人が少なくありません。注意欠陥多動障害(ADHD)のこどもを持つ親が教師に症状を説明し、それを踏まえて接してほしいと要望しても無視される場合があります
教師はクラスの生徒を同じように扱う、というのが学校教育の本質であるからです
個々の生徒の特性は考慮せず、全員を同じように扱い、同じことをさせるのが教育だと教師たちは教え込まれ、訓練されているからです
自閉症に限らず、さまざまな病気、障害への偏見が根強く存在し続ける社会ですが、そうであるからこそ、偏見を指摘し、改めるよう働きかけるのを止めてはなりません
昔、自分が使っていた心理学の教科書には「狼に育てられた少女」の話が載っていました。「狼に育てられたため人間の言葉を話せない」という説がまかり通っていたのです
この少女が知的障害と自閉の症状があったため親が養育を放棄したのだろう、とする説が現在では定着しています


野生児と自閉症児―狼っ子たちを追って (野生児の記録 6)
福村出版
B.ベッテルハイム

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