スーツケース遺体事件を考える1 頭部切断
金沢市二俣町の道路下の斜面から女性の遺体が入ったスーツケースが発見された事件を取り上げます
女性の遺体は頭部が切断されており、首から下だけがスーツケースに入っていました。死後2週間から2ヶ月くらいと、警察の判断にはかなり幅があります
現場にスーツケースが遺棄されたのは3月22日から26日の間と見られており、こちらも随分と幅があります。「道路下にスーツケースが捨てられているのを見た」という目撃証言以外に決め手はないので仕方がないのですが
「猟奇殺人事件か?」といえば、違うと答えるしかないでしょう
頭部を切断したのは被害者の身許を特定できなくするためか、スーツケースに遺体を収めるのに頭部が邪魔になったためと推測されます
前者であれば被害者の身許が特定されると犯人が特定される可能性があり、つまり被害者の顔見知りによる犯行と考えられます
スーツケースに女性の遺体を収めると、全部で40キロ以上の重さになります。これを車に乗せて遺棄現場まで運び、道路上から投げ捨てたわけです
通常なら男性の犯行で、男女関係のもつれによる殺人と見られるのですが、どうでしょうか?
海外旅行をする女性が重いスーツケースをえっちらおっちら運んでいる姿も見かけますので、女性に不可能な犯行と断定するのは尚早かもしれませんが
遺棄現場は金沢市内となっていますが、金沢市といっても市街地化していないところが多くあり、人家もまばらな地域も珍しくありません
金沢市二俣町は郊外に移転した金沢大学の、さらにそこから山奥へと入った地域です。金沢大学周辺は学生向けアパート、マンションが建ち並んでいますが、そこから奥は人家もまばらとなり、二俣町あたりはド田舎と呼んだ方がふさわしい場所です
犯人は車で走りながら遺体の入ったスーツケースを捨てる場所を捜して回り、現場に遺棄することを決めたのでしょう
最初からスーツケースごと捨てるつもりであり、山の中に運んで遺体だけを埋めようとは考えなかったと思われます。道路下に捨てられている粗大ゴミに紛れ込ませれば発見されないと考えたのか、他に遺体を処分する方法が考えつかなかったのか?
後者とすれば殺人そのものは衝動的なもので、事前に遺体の処分方法まで考えた上で殺害実行に及んだのではない、と言えるのかもしれません
前にも書きましたが、山の中に遺体を埋めるほど深い穴を掘るのは実に難しい作業です。見た目では分かりませんが、土の下には木の根が密生しており、スコップ1丁で穴を掘るなど不可能と言えます
被害者は金沢市かその近郊に住んでいた女性で、殺害されてから遺棄されるまでの間、スーツケースに押し込められどこかに隠されていたのでしょう。その間に犯人は
証拠の隠滅やら遺体の処分方法を考えていたはずです。首から下の部分はスーツケースごと金沢市郊外の道路下に捨て、頭部だけは離れた別の場所に捨てたのでしょう。こちらも袋かバック、ダンボール箱などに入れて道路下に散乱している粗大ゴミに紛れ込ませた可能性が考えられます