元厚生次官殺害事件を考える5 「愛犬のあだ討ち」への疑問
元厚生省の事務次官やその妻を殺傷した事件で、小泉毅被告(48)に死刑の判決が出ました
産経新聞の法廷ライブが公判の模様を伝えています
しかし、裁判官が読み上げた判決文で気になるところがありますので、取り上げます
《次に、小泉被告が公判中でも何度も主張して強いこだわりを見せてきた、「愛犬のあだ討ち」という動機に対する判断に移る》裁判長「その動機に酌量の余地はない。被告は、愛犬『チロ』のあだ討ちのため、歴代厚生事務次官を殺害することを決意し、(元社会保険庁長官の)横尾和子(68)を襲撃しようとしたことについては、『自分はどうせ死刑になるのだから、一番腹の立つやつを狙った』と述べている」
「かかる愛犬のあだ討ちが真の動機であるとして、被告が愛犬チロをどれだけかわいがっていたとしても重大事件を起こすことを正当化できるはずもない」
確かに小泉被告の供述をそのまま汲んでいるわけですが、この事件が本当に「愛犬のあだ討ち」であったと認定するのは疑問です
「あだ討ち」はメタファーであり、その意味するところは別なものと考えるからです
報道されている部分だけからあれこれ推測を組み立てるのは危険な行為ですが、批判を承知の上で書きます
この事件は「愛犬のあだ討ち」ではなく、被告が抱いていた社会に対する不満や憤りを何らかの形で昇華させるため思い立ったものでしょう。それが官僚への報復という行動になって表出したのであり、「愛犬のあだ討ち」はあくまで小泉被告の個人的な感慨であり、例え話に過ぎません
社会から不当な扱いを受けているとの不満が鬱積し、それを晴らすため「何かデカイことをしてやろう」と思い立ち、メディアらが流している「官僚支配の構図」という批判をよく理解できないまま受け売りし、官僚への報復という形で自分の存在を世間に知らしめてやろうと犯行に至った、と
小泉被告の言う「マモノ」とは何だったのでしょう?
いたるところで対人トラブルを起こし、モメていた小泉被告にすれば、自分の内にある制御不能な衝動こそマモノであったのだろうと推測します
怒りを抑えきれず感情を爆発させてしまう自分自身を、小泉被告は持て余していたのかもしれません。コントロールできない自分自身を、マモノに憑かれていると表現してみせたのだろうと思われます
小泉被告の犯行に同情の余地はありませんし、死刑の判断も妥当と判断します
しかし、被告人が語る「動機」が本当の「動機」であるとは限りません。この判決は事件の意味を読み違えており、見当外れな判決理由になっています
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