「ガンダムを知らない米国人」と書くジャーナリスト

読売新聞のコラムで、カリフォルニア大学バークレー校の大学院の講義の中で「お台場に建造されたガンダム」の画像を見せたが、学生はそれがガンダムだとは知らなかったと書かれています
記事の論調は日本のアニメーションもハードウェアもアメリカで人気を失いつつある、というものです


コラムの筆者が直接体験した話なので、アメリカの大学生がガンダムを知らないというのはカリフォルニア大学バークレー校の「日本報道論」を選択している学生に限っては事実なのでしょう
ただ、それは局所的な体験から全体を語ろうとする行為であり、無理があります
いわゆる最初のガンダムのテレビシリーズが高い人気を得ているのは日本くらいであり、北米やヨーロッパでは必ずしも人気があるとは言えません
英語で書き込まれるアニメフォーラムを見ても、日本人がいつまでもファースト・ガンダム(最初のテレビシリーズ)に執着しているのを奇異に感じる人たちの書き込みがあります
日本人にとっては「エヴァンゲリオン」などと同じく、時代を超えた文化としての象徴という意味合いが強いガンダムも、欧米では必ずしもそうした受容がされていないのです
それはフランス人にとって代表的なロボットアニメが「ガンダム」でも「エヴァンゲリオン」でもなく、「UFOロボ グレンダイザー」であるかのような現象です
「マジンガーゼット」の後番組として制作された「UFOロボ グレンダイザー」は日本でほとんど話題になりませんでしたが、フランスでは視聴率100%を記録した番組として有名です。つまりフランスの少年少女が皆、このアニメーションに夢中だったのです
話を戻して、ガンダムの知名度が低いのかといえば必ずしもそうではありません
「お台場に立つガンダム」の動画が何本もYoutubeにアップされ、数多くのアクセスがあり、コメントが書き込まれました。これは日本のアニメーションに関心を持つ層と、そうでない層に大きな温度差があるためです
カリフォルニア大学バークレー校の学生はガンダムに関心を持っていないのですが、逆にガンダムに関心を抱いている層も確実に存在する証です
それはインターネット上に数多く存在する日本のアニメーションを取り上げたコミュニティサイトを見れば一目瞭然です。日本人の自分でも知らないようなアニメーション作品について、熱く語り合って飽きることを知らない人が大勢いるのです。この事実を無視して日本のアニメーションは人気が低下した、などというのは早計です
アニメーションは確かに一過性の娯楽にすぎませんし、消費され忘れ去られる運命にあります。しかし、繰り返し語り継がれることで文化として定着する可能性も秘めています
「ガンダム」や「エヴァンゲリオン」がそうであるように、海外のファンは「Naruto」について語り継いでおり、それはやがて文化として定着するでしょう
読売新聞のコラムは日本製品の人気が落ちたと嘆いて見せますが、本当にそうなのでしょうか?
自動車や携帯電話を製造するメーカーはアメリカにもヨーロッパにも中国にも存在します
しかし、日本の作るアニメーションを生産できる国は日本しかありません。先進国であるイギリスやドイツでも、一部のクレイ・アニメや芸術作品としてのアニメーションを除外すれば大衆向けのアニメーション作品は作れないのです
世界で唯一、大衆向けの娯楽アニメーション(ディズニー、ピクサー風の作品は別にして)を作れる日本の強みをもっと肯定してもよいのではないでしょうか?
繰り返しますが、カリフォルニア大学バークレー校での局所的な体験から全体を語ろうとする試みは無理がありすぎます

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