島根女子大生遺棄事件を考える26 捜査員・ブロガーの見解だ

未解決のまま年を越したこの事件ですが、当ブログで取り上げるのは26回目になりました。これほど多く取り上げ、言及する結果になるとは思いませんでしたが、解決されるまで関心をもって見守るつもりですから、まだまだ回数は増えそうです
この事件に触れたメディアの報道、個人のブログなど見てきましたが、そこで披露されている個々人の見解や意見は当然、その人の欲望が反映されていると考えられます
自分がこの事件を、サディズムとマゾヒズムを持ち合わせた人物による遺体損壊を主たる目的とした快楽殺人と見るのは、犯人がそのような人物であって欲しいとの思いがあるからです
捜査員が顔見知りによる怨恨が原因の殺人と見方に執着するのは、事件がそのようなものであって欲しいとの思いがあるからです
前にも取り上げましたが、一部の人たちはユダヤの陰謀でありユダヤ教にのっとった殺人の儀式であると盛んに主張しています。これも事件がそのような陰謀によるものであって欲しいとの思いが反映されているためです
他にもブログでは、「ナンパしたが被害者にフラれたため激昂して殺害してしまったもので、猟奇殺人ではない」と主張している人もいますし、「女性が犯人」と主張している人もいます。それが個々人の思いが反映したものであるのは言うまでもありません
テリー伊藤はワイドショーで、「犯人は今月末(12月末)にもう一度アクションを起こすかもしれない」とコメントしていましたが、これも犯人がそのような行動をする人物であって欲しいとの思いがあるからです
犯人とは空無の記号であり、人々はそこに己が勝手に想像し、求める人物像を当てはめて語っているにすぎません
犯人もさぞかし苦笑しているものと思います
こうしたさまざまな意見・見解がどれだけ犯人像に合致するものなのでしょうか?
中には「自分の推理」とか、「プロファイリングをした結果」と称して見解を披露している人もいますが、難点はあります
心理職の場合、個別の心理テストを実施したり面接をしたりしてクライアントの人格や性格を把握し、それをレポートにまとめる作業を経験します。クライアントの抱える症状や問題にも踏み込む場合もあります
「だから心理職の見立ては正解」だと断言できるものではなく、そこまでやっても読み違いを生じるケースはあります
技術不足や知識の欠如、理論の理解不足などなど要因はいくつもありますが、上述のような「クライアントはこのような人物に違いない」との思い込みが読み違いの原因であったりもします
統計的な手法によるプロファイリングはこうした個人の思い込みを排除できますが、統計にも問題があるのは既に述べたとおりです
訓練を重ね、経験を積んだ心理職でも読み違いを完全には排除できません
訓練も経験もない素人の方の推理、プロファイリングを揶揄するつもりはありませんが、やはり個人の思惑に大きく左右されるのは事実です
一部の報道で捜査員が、「被害者は胸にタトゥーを入れていたいまどきの女の子」だと語ったように伝えられています。それは暗に、「出会い系サイトなど気軽に利用する無警戒でイケイケなギャル」だと捜査員が決め付けていた風に聞こえます
しかし、胸にあったのはタトゥーではなく学生寮のハロウィンパーティーのために貼ったシール、との報道もあり、真相は不明です
いまのところ被害者が出会い系サイトを利用していたとの報道もありませんので、上記の捜査員による「いまどきの女の子」発言も思い込みによるものではなかったか、と考えられます
この事件についてはブログで取り上げた数も増えましたので、直近のリンクだけ掲げておきます

島根女子大生遺棄事件を考える21 陰謀説・サイコ説
島根女子大生遺棄事件を考える22 女性犯人説
島根女子大生遺棄事件を考える23 犯罪心理学者の見解
島根女子大生遺棄事件を考える24 犯人の自己顕示欲
島根女子大生遺棄事件を考える25 むき出しの欲望
島根女子大生遺棄事件を考える27 犯人はいま
根女子大生遺棄事件を考える28 劇場型犯罪
島根女子大生遺棄事件を考える29 思い込みの誤り
島根女子大生遺棄事件を考える42 容疑者死亡で送検
島根女子大生遺棄事件を考える43 矢野容疑者のプロフィール

上記の記事より過去のものは以下のリンクからたどってください



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