島根女子大生遺棄事件を考える22 女性犯人説
新聞では被害者の遺体に付着していたビニール袋の出所を捜査している、と報じられています。電話帳を配布する祭に使われたものと、さらに別の袋の二種類があったと記事にはありますが、そこから犯人にたどり着くにはまだまだ時間がかかるでしょう
さて、タイトルに書きました「女性犯行説」ですが、本件を取り上げたブログを読んで回った折に、「女性による犯行と考えられる」といった趣旨の発言をしているブログがいくつもあり、気になりました
初期の報道で事件についてコメントした犯罪心理学者の発言の中に、「遺体の顔に踏みつけられた痕があることから女性による犯行と考えられる」という部分があり、それが影響しているとも思えます
確かに事件が報じられるようになった初期の段階では、顔見知りによる犯行説が有力であり、男女関係のもつれが原因とのする見方がありました。別れ話がこじれて交際相手の男性に殺害されたか、あるいは男性を巡る三角関係で女性に殺害されたと見る人が多かったのです
被害者が小柄な女性でしたので、犯人が女性であったも遺体を運ぶのは十分に可能だとも考えられました
こうした初期の報道や、報道に接した時の第一印象というのは後々まで尾を引きますそれがいまだに「女性犯行説」がささやかれ続ける要因なのでしょう
確かに平成6年に九州で派生した美容師殺人事件では、犯人の女性が被害者の遺体をバラバラにし、高速道路のパーキングエリアに設置されたゴミ箱に捨てて回るという行動で注目を集めました
しかしこの犯行は遺体を処分するのに困ったため遺体を解体したもので、今回の事件と同じものと決め付けるのは早計でしょう(もちろん被害者である女性への憎悪、嫉妬が遺体をバラバラにしてやろうという潜在的な動機であったわけですが)
余談ですが、上記のウェッブサイトの末尾に「平成6年は3月3日に発覚したこの事件を始めとして、バラバラ事件が多発し、年間を通して10件に及んだ」とあります
これは事件の報道が「他者の欲望」を刺激し、影響し、それと気がつかないまま同種の犯行に走る人間が出現するためです。通り魔事件が起こると、その報道に刺激され同じように通り魔事件を起こす人間が現れるのです
話を戻します
今回の事件は女性による犯行も可能ですが、背景に男女関係のもつれによる恨みや嫉妬など強力な動機がない限り、「女性犯行説」は成り立たないと考えます
被害者が男性との交際を巡ってトラブルに遭遇していた事実が浮上してこない今、恋仇の女性が被害者を殺害した可能性は皆無でしょう
この事件についてはブログで取り上げた数も増えましたので、直近のリンクだけ掲げておきます
島根女子大生遺棄事件を考える18 学生の事情聴取
島根女子大生遺棄事件を考える19 プロファイラー起用
島根女子大生遺棄事件を考える20 正常と異常の境目
島根女子大生遺棄事件を考える21 陰謀説・サイコ説
上記の記事より過去のものは以下のリンクからたどってください