島根女子大生遺棄事件を考える21 陰謀説・サイコ説
事件解決の目処が立たないまま事件が経過し、その間にさまざまな憶測が持ち上がってきます
中にはユダヤの陰謀説(定番です)や、サイコパスによる犯行説もあります
例として挙げておきますが、ユダヤの陰謀説はネタとしか言いようがありません
島根女子大生殺人は旧約聖書をモチーフにした儀式殺人である
サイコ殺人説の一つは下記のブログでも展開されています
【島根女子大生殺人事件】特定される犯人像
その見解に異議を唱えるつもりも批判するつもりもありませんが、ただ「サイコ」だと指摘しても、それは何の解決にもなりませんし犯人が犯行に至った力動を説明するものでもありません
前にも述べましたが、「首の切断」には去勢の意味があります。同時にそれは思春期における近親相姦断念の儀式でもあると精神分析では解釈します
思春期の男子は象徴としてのペニス切断をいう儀式を経て近親相姦を断念し、母親以外の女性を恋愛の対象として獲得するようになる、と考えるのです
神戸の連続児童殺傷事件で、犯人が被害者である子どもの首を切断しなければならなかったのもこの「象徴としてのペニス切断」という儀式を遂行するためで、彼はそれを「バモイドオキ神」に捧げる儀式と表現しています
逆に去勢という儀式を乗り越えられず、エディプスコンプレックスを引きずったままの状態にある者は、去勢という儀式を幻想の中でさまざまに脚色し、サディズムやマゾヒズムに満ちた性愛の追求に走るのではないか、と考えられるのです
前述のブログでは女性をバラバラにしてトイレに流し遺棄した星島被告に触れていますが、手足の切断という行為に性的な興奮を覚えるのはそれを去勢に見立てているためです
いや、順を追って考えるなら近親相姦行為とそれに対する罰としての去勢という様式の上にさまざまな快楽の物語を描くため興奮し、執着する人がいるのだ、と言うべきでしょうか?
以上は男性を想定した仮説です。
エディプスコンプレックスの克服がうまくできなかった女性の場合、「東電OL事件」のようなケースが考えられます
前回の記事でも書きましたが、「犯人は異常者」と指摘してもそれは何も言い当てたことにはなりません
そして犯行の目的や犯行の動機とされるものを検事が推論し、調書の中で記述しても、犯行の意味を言い当てたとには言えないでしょう
何度も繰り返し書いていますが、事件の意味を考えるとは犯人がその行為(犯行)にどのような意味を込めたかを考える行為であり、行為の意味を問うことこそ精神分析の目的でもあります
この事件についてはブログで取り上げた数も増えましたので、直近のリンクだけ掲げておきます
島根女子大生遺棄事件を考える15 顔見知り犯行説
島根女子大生遺棄事件を考える16 空き家で犯行
島根女子大生遺棄事件を考える17 迷宮入り
島根女子大生遺棄事件を考える18 学生の事情聴取
島根女子大生遺棄事件を考える19 プロファイラー起用
島根女子大生遺棄事件を考える20 正常と異常の境目