島根女子大生遺棄事件を考える 9 「死と快楽」
報道によれば、警察は遺体の一部が発見された臥竜山での捜索を打ち切ったとのことです
改めて事件を見つめ直すと、犯人は遺体の処分に困って捨てたのではありません
警察に発見させるため、己の犯行を誇示するために遺体の一部を山の中のあちらこちらにばら撒いたのです
警察を挑発し、「捕まえられるものなら捕まえてみろ」というメッセージでしょうか?
あるいは、「おれはここまでやれるんだぜ、すげえだろう」と己の残虐さを自慢するためなのでしょうか?
現在のところ発見されていない内臓、性器、乳房などは犯人が手許に保管している可能性があります
そもそも犯人は遺体を捨てたり隠したりする必要がなく、すべてを手許に置き保管できる環境にあるとも推測できます
遺体の一部が発見されなければ被害者である女性はいまでも行方不明扱いされ、犯罪に巻き込まれたとする見方と、自らの意志でどこかへ行ったとの見方がされていたでしょう
女性が自らの意志で失踪したと警察が判断してくれれば、事件性は否定され犯人に警察の捜査が及ぶことはなくなります。しかし、犯人はそれを望まなかったわけです
「残虐な手口で女性を切り刻む冷酷な殺人者」としての自分を認知されたかったのです
これは密室の中で誰にも知られず淫靡で背徳的な行為にふけって快楽を得ようとするのではなく、露出狂のように己の恥部を公衆の面前にさらし、蔑みや嫌悪の視線を浴びることで、己の醜態を見せ付けることで快楽を得たいと願う倒錯行為です
ですが犯人は自らを変態であると卑下しているのではありません
女性を殺害しその命を奪うという行為は、人の生死を己の手で思いのままにできるという万能感の現れであり、それは神にも匹敵する立場です
すべての殺人犯がこうした万能感に満ちているのではありませんが、今回の事件の犯人はその典型ともいうほど思い上がった人物でしょう
壁の落書きに「死ね」と書いたりしますが、それは世間に向け「オレ様は人の生死をつかさどるくらいすげえ能力があるのだ」というアピールです
同様に被害者の遺体を切り刻み、弄ぶことで己の能力を誇示しているのです(世間からすればただの変態行為ですが)
しかし上記のような犯人の意識の底に横たわる万能感、冷酷な殺人者というイメージは犯人のでっちあげた幻想の世界での話であり、現実にそうであるとは限りません
つまり現実社会の中で犯人は「神にも匹敵する立場」とは程遠い、単なる引き篭もりや落ちこぼれなのかもしれません
猟奇犯罪を扱った小説では犯人は遺体を死姦したりしますが、今回の犯人は遺体を前に勃起不能で死姦どころか自慰すらできなかったのかもしれません
以上の記述はすべて自分の想像であり、事実と異なる点は多々あると思います
が、繰り返し述べているように犯行の派手さや異常さだけを論っているだけでは、事件の意味を見失ってしまいます。事件の意味はあくまで犯人の意図(犯人ですらそれとは認識できていない無意識の欲望)に潜んでおり、それを読み取ろうする営為が精神分析です
当ブログではこの事件について以下のように言及してきました
島根女子大生遺棄事件を考える 1
島根女子大生遺棄事件を考える 2
島根女子大生遺棄事件を考える 3
島根女子大生遺棄事件を考える 4
島根女子大生遺棄事件を考える 5
島根女子大生遺棄事件を考える 6
島根女子大生遺棄事件を考える 7「羊たちの沈黙」
島根女子大生遺棄事件を考える 8 次の犯行
島根女子大生遺棄事件を考える10 フェティシズム
島根女子大生遺棄事件を考える11 事件の相違点
島根女子大生遺棄事件を考える12 殺人者の語り
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