統合失調症の原因は遺伝子の異常か?
岐阜薬科大の研究グループが統合失調症の原因として、特定の遺伝子の欠如によるものとする研究結果を発表しました
まだマウスの比較検証段階であり、人間の統合失調症患者での遺伝子異常を究明し確認したものではありません
しかし、一つの道筋と言えるのかもしれません
統合失調症(昔は精神分裂病と呼称していました)は、その原因が心因性のものか器質性のものか、長く論議されてきました
一時期は器質性の疾患だとする考え方が強く否定され、統合失調症は親子間で遺伝しないという説が有力視されました。これは統合失調症患者とその家族に対する偏見を払拭しようとする意図が反映したのだろうと思います
純粋に医学的な立場からの論議ではなく、統合失調症に対する偏見や差別が議論に影響を与えており、「統合失調症は遺伝する」と口にすることすらタブー視されていたように感じたものです
だからといって、統合失調症が心因性の疾患であると決定付ける根拠が存在したわけではありません
現在ではさまざまな薬の開発により、症状をコントロールできるようになってきましたし、社会生活を営んでいる患者さんも大勢います
病名から患者やその家族の人格を否定するような偏見もかなり是正されてきたように思いますが、完全に払拭されたとは言えません。やはり、根本的な治療法の確立によって「完治しうる病」にならない限り、偏見は消えないのでしょう
今回の研究によって統合失調症が家族間で遺伝するものだと決定されたものではないので、その点は強調しておきたいと思います
統合失調症の患者に対して精神分析が有効かどうか、という論争もありました
患者によっては効果が認められるとの報告がありましたが、あくまでも成功した事例であり、すべての患者に対して有効な働きかけだと断言できるはずもありません
フロイトが精神分析を始めるよりも前から統合失調症の症状は知られていたのですが、その原因も発症のメカニズムも長く謎のままだったのです
今回の研究によって、根本的に病気の原因を治療する道が開けるのかどうか、今後の推移に注目したいと思います
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