世界を救う日本人 映画「サマーウォーズ」評

2ちゃんねるで映画「サマーウォーズ」の批評に関するスレッドが立っていました

ソースは朝鮮日報の韓国語ブログのため、蚯蚓記者が日本語に翻訳されたも

のをそのまま引用させてもらいます



2Dアニメは好きなジャンルだが、いつも劇場で見るか迷う。まあまあな作品なら
1年ほど待てばテレビで見られるからだ。とにかく9千ウォンという高いお金を払
って見るのは惜しいが、それでもそのまま見過ごすのもいやで、土曜日の朝の
熟睡をあきらめてかけつけた劇場には早朝のためか丸坊主の男子学生がや
たらに多かった。彼らの選択は大部分<名探偵コナン>だったが。

とにかく<時をかける少女>の活き活きとした感性を期待して見ることにした<サ
マーウォーズ>。
初めて画面を見た時はちょっと違和感を消せなかった。高い洗練度を誇るデジ
タル映像に適応したからか、やぼったい2Dアニメはなぜか画仙紙に広がった墨
のように曇って見える。
だが、いつものように、こういう感じは最初に少し感じるだけ。いつのまにか目は
画面に適応して、日本特有の穏やかな感性がにじみ出る画面はすぐなじんだ。
(中略:内容紹介)

細田監督の前作の<時をかける少女>や既存のその他の日本アニメと同様、明
らかにおもしろい。そして家族という共同体の力とか最後まであきらめない挑戦
精神など、表面的に見せるメッセージも明らかだ。

だが、<サマーウォーズ>は事実ちょっと不快だった。日本アニメや日本の情緒、
風習、そして彼らの考え方があちこちにあらわれるのは当然のことだろうが、ア
ニメのあちこちでいつの間にかあらわれる彼らの世界観はちょっとオーバーの
ように感じられる。

インターネット上の仮想世界OZが襲われた後、無限サイバーテロで大混乱に陥
った日本全体を動かすのは家で静かに朝顔を育てて伝統を守ってきたお婆さん
だった。日本人科学者侘助(ワビスケ)はすべての事件の根源になるハッキング
システムを発明したが、本来世界的に莫大な影響を及ぼしたのはこのシステム
で無責任な軍事実験を押し切った米国防省だ。世界を滅亡の危機から救い出し
たのは各自ができる方法で最善を尽くした日本の小市民らのおかげだった。
以上の設定は無意識の内にすり込まれた日本人の世界観をそっくり見せるため
だ。

みながそのように感じるのではないかもしれないが、なぜか世界で最も優れてい
ると信じている日本の自惚れを見るようだ、というところだろうか。
さもなければ、あまりに賢く自分たちの考えを包みこんで、認知できないほどこっ
そり溶かし出す彼らの能力をうらやましく思うかも知れない。

とにかく<サマーウォーズ>はキャラクターやストーリーどちらもすばらしいアニメで
あることは明らかだ。
世界を救う花札のせいで幼稚だという評もあるが、自分たちの土俗文化を一つ
一つ発掘し、話題になるようにするのも日本アニメの力ではないかと思う。
おかげでしばらくの間、花札の最中に叫んでいた「コイコイ(go go)」が耳の中をぐ
るぐる回ったが。
評価は星三つ半:.★★★☆

ソース:朝鮮日報ブログ(韓国語) 世界を救う日本人、彼らの世界観<サマーウォーズ>
http://tblog.chosun.com/tblog.log.view.screen?tblogNo=10004&messageNo=11224


劇場用映画を作る場合、観客の興味とテンションを維持させるため、どうしても

「地球を救う」とか、「人類を救う」といった大風呂敷を広げる形になります

そうした危機に立ち向かうのは著名なスーパーヒーローの場合もありますが、偶

然事件に巻き込まれた庶民だったりする場合もあります

「サマーウォーズ」の場合は後者に当たるわけですが、「なぜか世界で最も優れ

ていると信じている日本の自惚れ」を誇示するために映画を作っているわけでは

ありません

「スーパーマン」を指してアメリカの自惚れを指摘するくらい滑稽な発言です

むしろ、地球の危機を救うためスーパーヒーローを登場させるアメリカと、庶民を

登場させる日本の違いを対比させて語るくらいはしてほしかったと思います

それから、「高い洗練度を誇るデジタル映像に適応したからか、やぼったい2Dア

ニメはなぜか画仙紙に広がった墨のように曇って見える」との指摘は考えさせら

れます。結局、彼ら韓国人の多くは3Dのフルデジタルアニメーションこそ最高だ

と思っているのでしょう

日本のアニメーションが3次元のCG使用に消極的なのは、技術的に劣っている

からではなく、3次元による表現がその指向する作品世界になじまないと考えて

いるからです

やぼったいと言われようと日本のアニメーション作家たちが2次元的表現に執着

する理由を、彼らは決して理解できないのでしょう

この記事へのトラックバック