村上春樹と東アジア 毎日新聞より
毎日新聞の銀幕閑話:第249回で「村上春樹と東アジア」と題し、アジアで村上春樹作品がどのように受容されているのか検討するシンポジウムが開催され、本にまとめられたことを紹介しています
記事は読者がどう読んだかではなく、「翻訳家が村上作品にどう取り組んだか」に終始していますので、肩透かしを食った形ですが。東アジアで村上作品がどう読まれているのか知りたければ本を買って読め、という意味なのでしょう
さて、当ブログでも何回か、村上春樹については取り上げてきました。文末に一覧を載せておきます
話を毎日新聞の記事に戻します。林少華・中国海洋大教授が「村上春樹の東アジア的視点を「それは村上春樹が19、20世紀の東アジアの暴力と悪に満ちた歴史に対して投げかける冷静にして憂鬱(ゆううつ)で、しかも鋭いまなざしなのだ」とし、「これはまさに東アジア人が共有できるとても貴重な東アジア的な要素なのである」と中国人ならではの視点を提示した、と述べています
意味不明です。いったい何を「東アジア人が共有できる貴重な東アジア的な要素」だと指摘しているのでしょうか?
端的に言うなら「暴力と悪意に彩られた19世紀から20世紀にかけての歴史認識」ということになるのでしょうが、村上作品のどこからそんな歴史認識が飛び出してくるのか、理解できません
強いて言うなら「ネジマキ鳥クロニクル」と「海辺のカフカ」の後半、日本兵の幻影が登場する辺りを挙げているのでしょうか?
あるいは日本の学生運動、中国の日中戦争、国共内戦、文化大革命や韓国の民主化闘争を念頭に発言しているのでしょうか(その可能性は限りなく低いと思いますが)
歴史認識など共有化されていませんし、村上作品のどこからそんな要素を読み取っているのか不可解です。おそらく別な何か、を読んでいるとしか思えません
藤井省三東大教授の「日本にとっては北米以上に東アジアが大事になっているが、情念のところまで付き合っていない。(村上文学の読まれ方を)『鏡』として東アジアの人々の心を理解するきっかけにしたい」と村上春樹の将来にわたる影響力と文化的意義を俯瞰(ふかん)してみせた、という指摘は毎日新聞の社説でしょうか?
一般の日本人は、「東アジアの人たちと情念レベルで深く交流したい」などとは思いませんが(これは蔑視ではなく、興味・関心がわかない、という意味です)
民主党が主張するような「東アジアの連携」などというスローガンは幻想にすぎませんし、価値観も歴史観も文化も異なる東アジアの国と「情念の交流」など実がないと自分は考えます
台湾とは友好な関係があるのでこれを維持し、交流を進めるべきだと思いますが、反日を国是とする中国や韓国との交流、ましてや情念の共有など御免です
東アジアなどという枠から離脱し、世界と交流するべきでしょう
村上作品が東アジアだけでなく、世界で広く読まれているように
過去、当ブログで取り上げた村上春樹関連の記事です
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村上春樹論2
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