「ヘーゲル読解入門」を読む2 他者の欲望
引き続き、アレクサンドル・コジェーヴの「ヘーゲル読解入門」を読んで書きます
「第一章 序に代えて」でコジェーブは欲望の在り処について語ります
欲望が「他者の欲望」であってこそ、動物的な欲望ではなく人間的な欲望となり得るのだ、と
動物的な欲望とは生命保存を希求するものであり、逆に人間的な欲望は生命を危険にさらすものだと指摘します
前回、奈良で起きた高校生による同級生殺人に言及しました
他者に己の存在を承認させようと迫り(その手段は暴力であり、当然違法なものであるわけですが)、それが果たせぬまま相手を殺してしまったと考えられます。つまり他者の欲望を引き受け損なった結果だと言えます
相手を他者とし、自分とは別個に存在するもの、己の欲望とは異なる欲望であると承認し損ねたと言い換えればよいでしょうか
実際に殺すの、殺されるだのという事態になるかどうかはともかく、事件を起こした高校生にとっては「相手を殺すしかない」と考え、それが唯一の選択肢だと思うほかなかったわけです
彼の判断を稚拙だの、短絡的だのと言うのは簡単ですが、このように全力で間違った行動に走るがゆえに人間的だと言えるのだ、とコジェーヴは考えるわけです
動物的な欲望とは異なる人間的な欲望が人を駆り立て、ときには間違った行動へと走らせる社会。そこに我々は生きているのだと
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