母親を殺害した八戸事件を考える 3
この事件について取り上げた本の中に芹沢俊介の「親殺し」(NTT出版)があります
東京新聞のサイトに書評があってので、一部引用します
親殺しはその後もしばしば発生したが、これまでの常識では理解し難い行動が増えた。
例えば二○○六年八月には北海道稚内市で、十五歳の少年が三十万円の報酬で友人に親殺しを依頼したり、○八年一月には青森県八戸市で、十八歳の少年が母親と弟、妹をナイフで刺殺し、十文字に切り裂いた母親の腹部にオルゴール付きの人形を詰め込んでいたというのだ。
これは一体どういうわけだろう、というのが本書のテーマである。
これにも四つのパターンがあり、第一に「一流大学へ行け」と強制する教育家族。
第二は親が離婚して、子どもが衝撃を受けているのに、子どもの心情にまったく無関心なこと。
三番目は対人関係の下手な子や自閉症の子が精一杯無理を重ねた末に、いわゆる<プッツン>すること。
そしてもう一つが、子ども自身の挫折とコンプレックスという問題である。
評者下川耿史 風俗研究家
これまでにも述べてきましたが、こうした事件を「異常」で「残虐非道なもの」で「命の大切さを知らないこども」の暴走と見ている限りは何の解決策も対策も思いつかないと考えます
「普通のこどもがある日突然モンスターのように暴れだす」などという前提に立っていては対策の施しようもありません
親たちはモンスターと化すこどもに脅え、暮らすほかないでしょう
ですが、これまで説明してきたようにこどもたちは決して怪物ではありませんし、理解不能な行動をしているわけでもありません
自立の失敗であったり、エディプスコンプレックスの克服に失敗したり、去勢コンプレックスの幻想に振り回された挙句の行動であったと考えます
こうした自立、エディプスコンプレックスの克服は思春期の青少年が直面する問題であり、多くのこどもたちは躓いたり傷ついたりしながらもこれを乗り越えて大人の段階へと踏み出しています
ただ、中には少数ながら乗り越えられずに失敗を繰り返し、出口を見失ってしまうこどもがいると見た方が妥当でしょう
「事件の結果」だけに目を奪われず、「事件の意味」を、「事件の本質」を見ていただきたいと思い、こうして拙い所見を披露しています
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