母親を殺害した八戸事件を考える 1

2008年1月に青森県八戸市で発生した殺人事件を今回は取り上げます
事件の詳細については以下のブログを参照してください


いつものように長い話になりますので、数回に分けて書きます
さて、これまでも少年少女による殺人事件を取り上げてきましたが、基本的なスタンスとしては「事件の結果」や「事件の原因」よりも「事件の意味」を重視します
上記のブログにある事件についての報道や他の新聞社のサイトも読みましたが、報道する側が「事件の結果」と「事件の原因」と「事件の意味」を混同し、混乱しているのが見て取れます
事件のもたらした衝撃に戸惑い、「事件の原因」について語ろうとしているのか、「事件の結果」について語ろうとしているのか、判然としないまま記事にしているようにもうかがえます
根幹にあるのは「なぜ」あるいは「どうして」という問いなのですが、しつこく繰り返すように「なぜ」の問いが「結果」に向けられたものか、「原因」あるいは「意味」に向けられたものか、記者自身分かっていないためだと推察します
少なくとも事件を考察し、事件を語るには自分が何を問おうとしているのか、知っていなければなりません
このブログでは事件を考える上で犯罪心理学の知見も採用しますが、自分の見方・考え方は精神分析(主にラカン派)の理論によるところが大です
先に劇作家山崎哲の「『少年』事件ブック」について言及したように、一般に家庭内暴力の少年は親を殺さない、との見解があります


「家庭内暴力を振るう少年の主題は両親殺しではなく、自らが『自立』することだからである」と山崎哲は書いています。この見解は「事件の原因」について語っているのではなく、「事件の意味」について語っているものであり、もちろん「事件の結果」について語っているわけでもありません
これは重要な点なので履き違えないようにしてください
ですから「事件の結果」として親を殺害する家庭内暴力があっても、「事件の意味」そのものを読み違えているわけではないのです
次回から本題の八戸事件に踏み込みます

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