武蔵の伝説と事実

新しい押井版武蔵に関連して、もう一つ書きます
宮本武蔵の残した水墨画には儒学者林羅山が賛を寄せています
他にも保科正之や烏丸光広などが賛を寄せているところから、武蔵が当時の文化人と交流をもっていた事実が分かります
林羅山は徳川幕府のブレーンとして幕藩体制を確立するのに貢献した人物であり、つまり政治の中心に居た男です
実際には羅山がまだ儒学者として大成する前の、京都で勉学に励んでいた頃に武蔵と知り合ったのだと推測されますが
武蔵が在野の武芸者であり、政治とはまったく無縁の存在であるかのように思われているとすれば、それは思い違いかもしれません
戦乱の時代を、生きるか死ぬかという勝負の世界を生き延びた事実からすれば、剣の腕も相当なものであったのでしょうし、時代を読む鋭敏な感覚の持ち主でもあったと推測されます
NHKの大河ドラマでは演出として西田敏行が武蔵に「生きろ」と道を諭す浪人役で登場しましたが、賛否両論ありました
佐々木小次郎が美形の青年剣士であるというのはお約束で、これに反する小次郎を登場させようものなら批判の嵐が沸き起こるのでしょう
史実よりも、定着したイメージの方が視聴者にとっては大切なのであり、これを否定されるのは許せないのだと思います
宮本武蔵は何度も映画化されていますが、中身はおおむね吉川英治の小説に沿ったストーリーになっています。吉川版「武蔵」のイメージが定着しているため、まったく違う解釈の武蔵映画を作っても人気を得られる可能性がないためなのでしょう

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宮本武蔵 最強伝説の真実 (小学館文庫)
小学館
井沢 元彦

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