小学六年女子児童による殺人 7

当ブログでは「事件を考える」カテゴリーの中で、小学六年女子児童による殺人(佐世保事件)を取り上げてきました
その第7回目です
本件について、「小学六年生の女の子が本当にサディスティックな幻想を抱いたりするものなのだろうか?」との声が寄せられましたので答えたいと思います
精神分析家メラニー・クラインの著作には実際の臨床例が幾つもあるのですが、説明としては適切かどうか迷うところなので身近な例を挙げておきます
小学生の女の子が楳図かずおなどのホラー漫画を熱心に読んでいる姿を見た方は多いのではないでしょうか?
こうしたホラー漫画の描く恐怖の中にはサディズムとマゾヒズムが織り込まれており、彼女たちは「怖いけど面白い」という感想を抱きます
その「面白い」の中身を彼女たちはまだよく自覚できていないわけです
が、性的な興奮が含まれているのは確かです
サディズムやマゾヒズムの快楽を一端をそこに見ているからです
あからさまに書いてしまうと、「けしからん。そんな漫画をこどもに読ませるべきではない」と言い出す人が登場しそうですが
ですが、こうしたホラー漫画を好むからといって女の子たちが残虐な事件を起こしたりはしません
むしろ、内側から湧き上がってくる無意識の欲動を発散させる役割を果たしているとも言えます
基本的には青年期にさしかかった女性がハーレクイン・ロマンスを読んだりするのと変わりないのです。物語世界を泳ぎ回り、空想に浸ることで現実世界のさまざまなストレスを解消し、疲労回復を図るのです
ホラー漫画を取り上げ、禁止したところでまた別なメディアがその役割を代替するでしょう
重要なのはホラー漫画が事件を起こすのではなく、人の内面から湧き出る無意識の欲動がサディズムやマゾヒズムという衝動をもたらし、行動へと駆り立てることです。これは特別な人間だけに起こる現象ではなく、ほとんどすべての人に当てはまると精神分析では考えます

(関連記事)
小学六年生女子児童による殺人事件
小学六年生女子児童による殺人事件 2
小学六年生女子児童による殺人事件 3
小学六年生女子児童による殺人事件 4
小学六年生女子児童による殺人事件 5
小学六年生女子児童による殺人事件 6
佐世保小6殺害事件 事件の意味を読む
佐世保小6殺害 事件報告書を人権侵害だと申し立て
16歳少女を殺人、死体遺棄で逮捕
広島少女遺棄事件 7人で集団暴行か?
佐世保高1女子殺害事件を考える1 マンションに独り暮し
佐世保高1女子殺害事件を考える2 快楽殺人説
佐世保高1女子殺害を考える3 「命の教育」とは
佐世保高1女子殺害事件を考える4 サインを見逃す
佐世保高1女子殺害事件を考える5 父親の再婚
佐世保高1女子殺害事件を考える6 精神鑑定
佐世保高1女子殺害事件を考える7 父親の自殺
佐世保高1女子殺害事件を考える8 再逮捕の狙い
佐世保高1女子殺害事件を考える9 児童相談所長ら懲戒処分
佐世保高1女子殺害事件を考える10 家裁の判断は?
佐世保高1女子殺害事件を考える11 有識者の見解
神戸連続児童殺傷事件 少年Aの手記出版

この記事へのトラックバック