現代中国アート

現代中国アート展の広告が電車の中にありました

2年くらい前でしたか、テレビ番組で現代中国アートが世界で注目を集めている、と取

り上げていました

世界の美術館やコレクターが競って中国の若手芸術家の作品を購入しており、日本

はこの分野で完全に出遅れているとの話でした

新しいものが注目を集めるのは珍しい現象ではありませんし、作品の評価などまだま

だ定まるはずもありません。特に現代アートの世界では。真価が定まるのは数十年

先の話です

世界のコレクターが先を競って買い捲っていると聞いても、「だから何?」という反応し

かありません

番組の意図としては、「日本も現代中国アートの価値に気づいて、これを買うべきだ」

と知らしめたかったのでしょうが

その後、リーマン・ブラザーズなどアメリカの大手金融グループが経営危機を迎えま

した。現代中国アート作品を高値で購入していたのは、こうした金融関連企業で高額

の給料・ボーナスを得ていた役員たちでした

買い手の懐が苦しくなったため作品の値段は暴落し、オークションにかけても買い手

が現れない状態になっているとの報道がありました
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2567582/3672759

つまり、アメリカの金融関連企業で高額の報酬を手にしていた人間が目先の投資の

ため現代中国アートに群がり、作品を競って購入していたわけです

買い手が群がるからオークションでは高値がつき、高値がつくから買い手が集まると

いう現象です(バブルと呼んで差し支えない話です)

美術作品としての価値が評価されたというより、金儲けの道具として利用されたのが

実態で、これは美術作品にとっても不幸な出来事です

そんなバブルがはじけた今になって、日本で現代中国アート展が開催されるというの

も皮肉な話です

もっとも、開催そのものはバブル全盛期に決まったのだと思いますが

さて、見に行ったものかどうか、迷っています

中国現代アート (講談社選書メチエ)
講談社
牧 陽一

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