不倫の代償
自分が社会人となった頃に見聞した話です
仕事を終えた夜7時過ぎ、当時住んでいたアパートへ帰る途中、道の脇に大きな四輪駆動の車が停まっていました
ライトはついていなかったのですが、わずかな街灯の光で車内にいる男女の姿が見えました。運転席にいる男性と助手席にいる女性が車の中でキスをしているところでした
のこのこ歩いて通りかかるのもためらわれたので植え込みの陰にいると、やがて車から女性が降りてきて近くの民家へ入っていきました
四輪駆動車は彼女の姿を確かめた後、エンジンをかけて走り去りました
女性は仕事の帰り、同じ職場に勤める男性に送ってもらったのでしょうが、様子からして二人は不倫関係にあるのは確実です
はからずも自分の近所に住む女性の不倫現場を目撃してしまったわけですが、この話は誰にもしませんでした
ところが後日、町内のソフトボール大会があり打ち上げの飲み会の席で不倫カップルの話がでました。彼女の夫がその場に居合わせなかったためもあり、かなり明け透けな話になったのです
飲み会に参加していた町内の20人ほどの男性が、それぞれに彼女の不倫について目撃していたと分かりました
彼女とその不倫相手の男性は人目をしのび、うまくやっていたつもりかもしれませんが、実際には多くの人の目に触れ噂になっていたわけです
そして数週間後、妻の不倫を知った夫が激怒して勤め先の会社へ乗り込み、不倫相手の男性相手に大暴れしたと聞きました
男性の方は会社に居られなくなり、退職に追い込まれました
彼女の方も幼稚園に通うこどもを残したまま家を追い出され、離婚に至ったそうです
それから後、どうなったのかは知りません
世間的にはよくある話なのでしょうが、社会人になったばかりの自分にとっては大人の世界のドロドロにひたすらびっくりし、戸惑いをおぼえたのでした
「自分たちはうまくやっている」と思っている以上、周囲の人間が忠告しても聞き入れないのでしょうし、不倫を止めるという決断には結びつかないのでしょう
結局、離婚という高い代償をつきつけられて、ようやく目が覚めるわけです
「そうなる前に」とは言われるものの、すべての助言・忠告を無視しても不倫に突き進む人に対して、有効な働きかけは難しいのが現実です
男性の側にも女性の側にも、自分や相手の家庭を壊しているという自覚が乏しい(あえて自覚しないようにしている)ためでもあります
離婚に関するズブズブ、ドロドロの愛憎劇に直接関与した経験はそうれほど多くないのですが、どれも良い結果には結びつきませんでした。扱いがとても難しいのです
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