ときには系統にしたがって読書を

前回はフーコーの「臨床医学の誕生」について触れましたが、巻末にある神谷美恵子の

小論をもっと早く見出していたなら余計な回り道をせずにすんだのに、といまでも思いま

す。回り道にも十分、価値はあるのですが

四月になって新たに大学生活を始める方もおられるでしょうから、そんな方のための読

書案内です

土田知則・神郡悦子・伊藤直哉による「現代文学理論」(新曜社)はタイトルに文学とあり

ますが現代思想の入門書です

ソシュールの言語哲学、フロイトの精神分析、フッサールの現象学などが現代思想にど

のような影響を与え、発展してきたのか、文学批評やテクスト分析といったテーマに沿っ

て語られています

中身は構造主義、ポスト構造主義といったフランスの現代思想に中心です。300ページ

に満たないながらも濃い内容で、末尾に納められているブックガイドも便利であり、自分

も参考にしています

当然、本書では取り上げていない英米の哲学も無視できないのですが、それはまたそれ

として

フランスの現代思想がどうして精神分析や心理臨床に結びつくのかは、人の行為(書か

れたテクスト、語られたことば、あるいは語られなかったことば)からその意味を解釈し、

人の内面を読もうとする批評行為が心理臨床と重なるからです(かなり強引なまとめで

すが)


現代文学理論―テクスト・読み・世界 (ワードマップ) (ワードマップ) (ワードマップ)
新曜社
土田 知則

ユーザレビュー:
新しい文学理論の入門 ...
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