前日の続き

では、なぜ彼が描いた絵に登場したのが彼そのものの姿でなく女性だっ

たのでしょうか?

確定的な話はできませんが、一つの推論をしてしましょう

女性は大人になれば家を出て嫁いで行く存在です

つまり婚姻という合理的な理由によって家を離れるのです

服飾系の専門学校に進学した彼は「家を出て行く存在」としての女性に己

の希望を重ねたのかもしれません

あるいは家の跡取り息子という立場を疎ましく思い、嫁いで家を離れる女

の子になりたいがそれが適わないゆえに、代償として服飾デザイナーに

憧れた、とも考えられます

女の子として服を着飾る立場から、服をデザインして着させる側へと置き

換えが行われているのです

もちろんこれは推論に過ぎず、検証もされていません

人との出会いは一瞬に過ぎず、それでその人物のすべてを看破したかの

ごとく言うのは軽率の極みです

しかし、同時に出会ってすれちがった一瞬こそが唯一、その人を見て語れ

る機会です。機会を逃せば二度とまみえないかもしれません

ゆえに思い違いも承知の上で人について語ろうとするのです

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