「火垂るの墓」を語る

先日の「海は甦える」の中で触れたかったのですが、話がとっちらかるように思えたので別立てで書きます
前に引用した稲葉振一郎の「ナウシカ解読」の巻末に宮崎駿の発言が載っています
「『火垂るの墓』にたいしては強烈な批判があります。あれはウソだと思います。(中略)それから、巡洋艦の艦長の息子は絶対に飢え死にしない。それは戦争の本質をごまかしている。野坂昭如が飢え死にしなかったように、絶対飢え死にしない。海軍の士官というのは、確実に救済し合います。仲間同士だけで。しかも巡洋艦の艦長になるというのは、日本の海軍士官のなかでもトップクラスのエリートですから、その村社会の団結の強さは強烈なものです。神戸が空襲を受けたというだけで、そばの軍管区にいる士官たちが必ず、自分じゃなかったら部下を遣わしてでも、そのこどもを探したはずです。それは高畑勲がわかっていても、野坂昭如がウソをついているからしょうがないけども(後略)」
そして宮崎は「巡洋艦の艦長の息子が死なないのは許せない」と、一部の特権集団だけが庇い合い生き延びようとする体質を批判し、「弾に当たって死ぬ貧乏人」への思いをにじませています
さて、劇場版アニメーション「火垂るの墓」についての海外の反応を載せておきます。生きようとして生きられなかったこどもたちの思いは海外でもきちんと理解されているようです
通称「月光」は海外のファンサイトの反響などを紹介してくれる場ですが、ここしばらく更新が途絶えているのが残念です

*観た中でも屈指のアニメ。奥の深いストーリーですごく感情に訴える。父や叔父でさえ泣いてしまった。(シドニー 20歳 男性)

*この映画を観て以来、何週間も私の息子はとめどなく質問し続けました。「なんでこんなことが起こったの?」「なんで兄妹は飢えているの?」「なんで兄妹のお母さんは死んだの?」「なんで、なんで、なんで、なんで???」。気が変になりましたよ。でもそれでも素晴らしい映画であることには変わりありません。『火垂るの墓』は楽しい映画ではありませんが、観終わった後ずっと心に残る素晴らしい映画です。(ハワイ 女性)

他のウェッブサイトでも「DVDを購入したけど、まだ見ていません。見たら自分がどうなってしまうかわかっているから」とか、「ちくしょう。なんでこんなアニメをつくったんだよ。ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう」という反応もあります

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