学校でのロールレタリング
ロールレタリングは誰かの立場になって手紙を書いてみることで、他人の立場なりその心情に気づかせようとする技法で、役割交換書法とも
呼ばれています
中学校の教頭が学校でロールレタリングを実践してきた報告を読みましたので、感じたところを述べます
教頭はかなり長くロールレタリングに取り組んでおり、経験も豊富のようです。勤務先である中学校ではすべての生徒に対してロールレタリングをさせており、書き上がった手紙にも全部目を通していると報告しています
教頭がロールレタリングに求めているのは「自己開示」であり、生徒が隠し立てせずにありのままの自分を曝け出すよう指導している、のだとか
しかし、全生徒の中で一人だけ、女子生徒が「自己開示」を拒んでおり、「問題だ」と教頭は報告の中で述べています
教師の目線で考えれば、「全校一斉に実施しているロールレタリングなのに、その趣旨を理解せず自己開示を拒否するなどもってのほか」なのでしょうか
そもそも中学生という時期なら男女を問わず、自分のすべてを曝け出せと言われて戸惑い、抵抗したくなっても不思議ではありません。誰にでも秘密の一つや二つはあるわけで
振りかえってみると、自分も中学生の頃は日記を毎日記入し、教師に提出するよう義務づけられていました。中学の3年間続いたのかどうかは記憶にありません
提出しないと怒られるため、毎日、差し障りのない内容ばかり書き込んでいた気がします。日記帳はすぐに処分したので残っていません
生徒の心情を把握するのは生徒を管理する上で大切ではありますが、強制的に日記を書かせてどうなるのか、といまでも思います
もちろん上記のロールレタリングにおいて、率直に自己開示をし悩みや不安を打ち明ける生徒もいるでしょう。教師と生徒の交流には役立っているに違いありません
だからといってロールレタリングで自己開示を拒む生徒を問題視し、けしからんとばかりに槍玉に挙げるような思考は疑問です
沈黙や拒絶もまた一つの答えであり、意思表示です
彼女の沈黙や拒絶を「教育活動の拒否、あるいは妨害」であるかのように受けとめず、その心情を察するべきでは
饒舌よりも沈黙の方が重大な意味を指し示している可能性もあります
精神分析では言い誤り、言い澱み、書き間違い、失念、沈黙にこそ重大な意味があると考えます
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